ディーゼル車530万台のソフトウエア改修で合意、ドイツの政産が環境対策を協議

2017/08/04発行 No.605号

記事分類:総合 – 自動車産業ニュース

ドイツ政府の呼びかけにより、ベルリンで8月2日、「ナショナル・フォーラム・ディーゼル」が開催された。ディーゼル乗用車の排ガスに含まれる有害物質の削減対策について、連邦政府、州政府、自動車メーカー、業界団体などが協議し、欧州連合(EU)の排ガス規制「ユーロ5」と「ユーロ6」に対応したディーゼル乗用車のうち約530万台について、ドイツの自動車メーカーが排ガスの制御ソフトを無償で改修(アップデート)することなどで合意した。

対策としては、排ガス浄化装置(ハードウエア)を追加装備する案も出ていたが、今回の協議では、ハードウエアの追加対応に比べて費用負担の軽いソフトウエアの改修で合意する結果となった。

ただ、ヘンドリクス連邦環境相は今回の合意について、「今日の会議の成果は重要な最初の第一歩ではあるが、まだ充分とは言えない」と指摘するとともに、ソフトをアップデートした車両の排ガスを計測するなど、合意の成果を確認していく必要があると強調した。

■ ドイツの28都市でEUの大気汚染の上限値超え

今回の会議は、ドイツのアレクサンダー・ドブリント連邦運輸デジタルインフラストラクチャー相とバーバラ・ヘンドリクス連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全相の呼びかけによるもので、ドイツの大手自動車メーカーのほか、大気汚染の問題が深刻化している都市を抱える州政府も参加した。ドイツでは欧州連合(EU)が定める窒素酸化物(NOx)の上限値を超える都市および都市圏が28カ所もある。

今回の会議では、市民の健康保護、生活の質や都市の機能性の維持、市民や経済の移動ニーズの確保を目的に、迅速に大気汚染を改善すると同時に、市民や経済の移動が制限されるディーゼル車の通行制限を回避する形での対策が協議された。

■ ディーゼル車約530万台の制御ソフトを無償で改修

今回の会議では、BMW、ダイムラー、オペル、フォルクスワーゲン(VW)の自動車大手4社が、ドイツで登録されているディーゼル乗用車のうち、排ガス規制「ユーロ5」と「ユーロ6」に対応した車両を対象に、約530万台について排ガスの制御ソフトを無償で改修することで合意した。同措置の実施は、連邦陸運局(KBA)の認可が前提となり、2018年末までに実施する。

独自動車工業会(VDA)は、同措置により排ガスに含まれるNOxを平均で25~30%削減することができ、少なくとも通行制限と同水準の大気汚染の改善効果が得られるとしている。

独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、「ユーロ5」と「ユーロ6」に対応したディーゼル車はドイツで現在、約860万台が登録されており、今回の措置でドイツメーカーのディーゼル車については大部分で改善対策が実施される見通し。

また、この530万台には、KBAが連邦運輸デジタルインフラストラクチャー省(BMVI)の指示を受けて、VWグループに改善措置を命じている246万台のディーゼル乗用車も含まれている。VWは年内に当該車両への対応を終える予定。

■ 都市の環境負荷軽減を支援する基金設立

今回の協議では、5億ユーロを予算とする「都市のための持続可能なモビリティ」を目的とした基金を設置することでも合意した。予算のうち、BMW、ダイムラー、VWの3社は2億5,000万ユーロを負担する。各社は市場シェアに応じて資金を拠出する。

同基金の支援を受けて、EUが定めた上限値を上回る28都市はそれぞれマスタープラン(グリーンシティプラン)を策定し、実施する。デジタル技術の活用や、高度な交通システムの導入、様々な交通手段との連携などにより、交通システム全体の環境負荷軽減を目指す。

■ 奨励金で低エミッション車への買い替え促進

また、自動車メーカーは奨励金により、「ユーロ5」より前の規制に対応した古いディーゼル車から、最新の排ガス装置を搭載した車両や電気駆動車への買い替えを促すことでも合意した。政府は、国外メーカーに対しても同様の措置を実施するよう要請する。

■ 公共車両の低エミッション化を促進

政府はその他の対策として、電気や天然ガス(CNG)を動力源とするバスの普及支援や、自治体の保有車両(清掃車など)への低エミッション車の導入、自転車道の整備、ディーゼル機関車のハイブリッドシステム化や燃料電池電車の導入などを支援・促進していく。

また、今回の打ち出した短期・中期・長期的な措置を具体化・実施するため、4つの専門家グループを設置する。

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