独自動車大手のBMWグループは1月29日、独レンタカー大手のシクストと折半出資で設立したカーシェアリング事業の合弁会社ドライブナウ(DriveNow)を完全子会社化すると発表した。シクストから持ち分を買取り、BMWの出資比率を100%に引き上げる。同取引の成立には、カルテル当局の認可が必要になる。
ドライブナウを巡っては、独競合ダイムラーのカーシェアリング事業「カートゥーゴー(Car2go)」との統合が憶測されている。メディア報道によると、業界では、第2四半期にもカルテル当局の認可が得られる見通しから、BMWとダイムラーは上半期中にもカーシェアリング事業を統合するとの見方が広まっている。
BMWは、ドライブナウを完全子会社とすることで今後の事業展開を自由に決定できる体制を整えた。今後の展開に注目が集まる。
■ 欧州13都市で事業展開、6,000台以上を投入
ドライブナウは2011年にプレミアム・カーシェアリングの合弁会社として設立された。顧客数は現在、100万人に達している。欧州の13都市で事業を展開しており、BMWおよびMINIの車両6,000台以上を投入している。また、13都市のすべてで、BMWの小型電気自動車「i3」を利用することができる。
BMWのペーター・シュヴァルツェンバウアー取締役(MINI/ロールスロイス/BMWモトラッド(二輪)/BMWグループの顧客体験・デジタルビジネスイノベーション担当)は今後のシクストとの関係について、「シクストは我々にとって今後も力強いパートナーであり続ける」と述べ、今後もBMWおよびMINIのシクストへの車両供給を継続していくと強調した。
■ モビリティサービス分野を重視
BMWは経営戦略「ナンバーワン・ネクスト」の中で、モビリティサービスを重要分野の一つに掲げており、オンデマンドモビリティ(ドライブナウ、リーチナウ)、駐車サービス(パークナウ)、充電サービス(チャージナウ)を今後さらに強化していく方針を示している。
シュヴァルツェンバウアー取締役は今回の発表に際し、「2025年までに我々のプレミアムモビリティサービスで1億人の顧客を感動させたい」と述べ、今後の事業拡大に意欲を示した。また、「ドライブナウを100%子会社とすることで、今後の戦略展開におけるあらゆるオプションを手中に収めた。モビリティサービス事業の経験は、将来の自動運転、電気駆動車、コネクテッドカー(つながる車)において重要になる」とも言及した。