欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/9

EUその他

伊政府がブロバン網整備を強化、EU目標達成に向け

この記事の要約

イタリア政府は3日、国内の高速インターネット通信網の整備を強化する計画を発表した。接続速度がEU内で最低水準にある状況を改善し、ネット利用を促進するのが目的で、60億ユーロを投じてブロードバンド網を整備する。 EUは情報 […]

イタリア政府は3日、国内の高速インターネット通信網の整備を強化する計画を発表した。接続速度がEU内で最低水準にある状況を改善し、ネット利用を促進するのが目的で、60億ユーロを投じてブロードバンド網を整備する。

EUは情報通信技術(ICT)分野の優先課題として2010年にまとめた「デジタルアジェンダ」で、2020年までに◇すべてのEU市民が30メガビット毎秒(Mbps)以上の速度のブロードバンド接続サービスを利用できるようにする◇域内の半分の世帯で100Mbps以上の高速サービスが利用可能となる――という目標を掲げている。今回の政策は同目標の達成に向けたものだ。

イタリアはEU内で最もネット通信網の整備が遅れており、欧州委員会によるとブロードバンドサービスの世帯普及率は域内最低の51%にとどまっている。光ファイバー・ケーブルの敷設が進まず、旧式の銅ケーブルが多用されていることで、通信速度が遅いことが背景にある。

政府は光ケーブルへの切り替えなどを進めてネット環境を整備し、EU水準まで引き上げたい考え。60億ユーロの公共投資に加え、通信事業者に投資を促し、通信インフラの近代化を図る。グイディ経済開発相は同計画の推進によって、100Mbps以上の高速サービスの世帯普及率が2020年までに85%に達するとの見通しを示した。

同計画をめぐっては、国内通信最大手テレコム・イタリアに対して、向こう数年間で光ケーブル化を完了することを義務付けるとの観測が浮上していたが、同社に巨額の資金負担が必要となるため、盛り込まれなかった。同社は当面、既存の銅ケーブルの容量を増強する形でのインフラ整備強化を進めると目される。