欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/18

EUその他

アルストムの事業買収、8月21日までに可否判断

この記事の要約

欧州委員会は12日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が仏アルストムの重電部門を買収する計画の審査期限を8月21日に設定したと発表した。両社から新たに提供された資料を含むすべての情報をもとに、審査期間を延長して買収の可否 […]

欧州委員会は12日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が仏アルストムの重電部門を買収する計画の審査期限を8月21日に設定したと発表した。両社から新たに提供された資料を含むすべての情報をもとに、審査期間を延長して買収の可否を最終判断する。

GEは昨年6月、アルストムの重電部門を約124億ユーロで買収すると発表した。欧州委は計画が実現した場合、ガス火力発電などに使われる大容量ガスタービン事業でGEのシェアが拡大し、同社と独シーメンス、三菱日立パワーシステムズの3社による寡占化が進んで競争が阻害される恐れがあると判断し、2月に本格調査を開始した。当初は7月8日を審査期限としていたが、GE側の要請で8月6日まで延長することを決定。その後、両社に追加情報の提供を求め、4月下旬から審査を一時中断していた。欧州委のカルドソ報道官は「両社に要請していた情報をすべて入手した」と述べ、審査の再開を明らかにしたうえで、新たな審査期限を公表した。

一方、GE幹部は前日の11日、欧州委から買収計画の認可を得るため譲歩する用意があると発言した。同社が欧州委の調査に関連して譲歩の姿勢を見せたのは今回が初めて。GEのイメルト最高経営責任者(CEO)は今月初めに欧州委のベスタエアー委員(競争政策担当)と会談しており、無条件で買収認可を獲得することは不可能と判断し、計画の見直しを本格化させたものと考えられる。

GEパワー&ウォーターのスティーブ・ボルゼ社長兼CEOは欧米メディアのインタビューに応じ、審査の長期化が従業員や顧客に不透明感をもたらしていると指摘。「買収の経済的メリットと戦略的価値」を保持することが絶対条件としたうえで、「(アルストムとの)取引を成立させるための改善策を探る用意がある」と発言した。ただし、GEが具体的にどのような譲歩を検討しているかについては言及していない。