欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/26

EUその他

オレンジのジャズテル買収を承認、光ファイバー回線売却などを条件に

この記事の要約

欧州委員会は19日、仏通信最大手オレンジがスペインの固定電話通信事業者ジャズテルを買収する計画を条件付きで認可したと発表した。両社の取引を認めた場合、スペインで固定電話サービスを展開する事業者が4社から3社に減ることにな […]

欧州委員会は19日、仏通信最大手オレンジがスペインの固定電話通信事業者ジャズテルを買収する計画を条件付きで認可したと発表した。両社の取引を認めた場合、スペインで固定電話サービスを展開する事業者が4社から3社に減ることになり、料金値上げにつながる恐れがあるとして調査を進めていたが、オレンジが一部資産の売却などの条件を受け入れたため、競争上の懸念は解消されると判断した。

ジャズテルはブロードバンド事業を中心とする固定通信サービス会社。オレンジはスペイン市場で先行するテレフォニカと英ボーダフォンに対抗するため、昨年9月にジャズテルを34億ユーロで買収すると発表した。

欧州委は初期調査の結果、オレンジとジャズテルの統合が実現した場合、テレフォニカ、ボーダフォンとの3社体制のもとで値下げ圧力が弱まり、特にネット接続と携帯電話をパッケージにして定額で提供するサービスの料金が引き上げられる恐れがあると指摘。昨年12月から本格調査を進めていた。

欧州委によると、オレンジは最終的に、光ファイバー回線網の一部(マドリードやバルセロナなど主要都市の計70万~80万回線)を第3者に譲渡することで合意。さらに譲渡先の事業者に対し、第4世代(4G)を含む移動体通信網と、ジャズテルが運用するADSL回線網へのアクセスを認める条件でも合意した。

欧州委は一連の是正措置によって「第4の事業者」の市場参入が可能になり、業界再編によって消費者が料金値上げなどの不利益を被る可能性は極めて低くなったと説明している。