欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/12

EUその他

金融取引税を16年から段階的に導入、EU10カ国が合意

この記事の要約

独仏などEU10カ国は6日、金融取引税(FTT)を2016年から導入することで合意した。ただし、FTT導入に反発している加盟国があることなどを考慮し、段階的に実施する。税率など詳細の決定も見送った。 FTT導入は、リーマ […]

独仏などEU10カ国は6日、金融取引税(FTT)を2016年から導入することで合意した。ただし、FTT導入に反発している加盟国があることなどを考慮し、段階的に実施する。税率など詳細の決定も見送った。

FTT導入は、リーマンショックに端を発した2008年の金融危機の元凶となった投機的な取引の抑制が目的。加盟国のうち9カ国以上が法案などに賛同すれば、それらの国だけで先行して実施することがEU基本条約で認められていることから、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、スロベニア、スロバキア、エストニアの11カ国が導入することを決め、昨年1月のEU財務相理事会で承認された。

欧州委員会が昨年2月に発表した具体案は、株式・債券取引に0.1%、デリバティブ(金融派生商品)取引に0.01%の率で課税するという内容。11カ国以外での金融取引であっても、11カ国に拠点がある取引関係者が含まれている場合や、取引される金融商品が11カ国で発行されたものであれば、課税対象とする。

11カ国は当初、14年1月の導入を目指していた。しかし、制度設計をめぐる調整が難航したほか、英国、オランダなど同制度に参加しない国が、非導入国の取引にも課税する「域外適用」に反発していることから、先送りされていた。

6日に開かれたEU財務省理事会で10カ国は、16年1月から株式と一部のデリバティブを対象に課税することで合意した。債券など他の分野への適用については、第1弾の実施が金融取引に及ぼす影響などを見極めた上で判断する。また、税率など詳細に関しての決定は見送り、年内の法制化を目指すことで一致した。

FTT導入を決めていた11カ国のうちスロベニアは、5日にブラトシェク首相が辞任し、政治空白が生じているため、合意への参加を見送った。