欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/26

EU情報

欧州委、経済通貨統合深化の具体策発表

この記事の要約

欧州委員会は21日、EUの経済通貨統合(EMU)の深化に向けた具体策を提案した。銀行が破たんした場合の預金者保護を強化するため、共通の預金保険保証制度を導入することなどが盛り込まれている。 預金保険保証制度は銀行監督、銀 […]

欧州委員会は21日、EUの経済通貨統合(EMU)の深化に向けた具体策を提案した。銀行が破たんした場合の預金者保護を強化するため、共通の預金保険保証制度を導入することなどが盛り込まれている。

預金保険保証制度は銀行監督、銀行破綻処理の一元化に続くEU銀行同盟創設構想の最終段階となる預金保険制度の一本化の布石となるもの。欧州委は法制化に向けた正式な提案を行う予定だ。

加盟国と欧州議会の代表は昨年12月、EU内の銀行が破たんした場合に備えて、ユーロ圏各国が銀行の拠出による預金保険基金を設立し、10万ユーロを上限に個人預金を保護することで合意していたが、この基金を支えるための共通の再保険制度を設ける。各国の基金が不足した際に、共通基金から資金を融通する。各国の基金を統合したユーロ圏共通の預金保険基金が創設され、預金保険制度の一本化が完了するまでの一時的な措置となる。

このほか欧州委は、EMU深化を促進するため◇国際通貨基金(IMF)にユーロ圏統一の代表を送る◇ユーロ圏各国が共通の指針に基づいて経済競争力の強化に取り組む「競争性委員会」を設立する◇ユーロ圏の財政運営にアドバイスなどを行う独立機関「欧州財政委員会」の設立――も提案した。

IMFの統一代表は、ユーロ圏19カ国のIMFへの出資が合わせて23%に上り、米国の17.7%を上回るにもかかわらず、各国の意見が統一されておらず、出資に見合う影響力を行使できていないことを受けたもの。統一代表を送り込むことで、発言力を強化する狙いがある。