欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2016/7/25

EU情報

トラックのカルテルで巨額制裁、過去最高の29.3億ユーロ

この記事の要約

欧州委員会は19日、欧州のトラック製造大手5社・グループが大・中型トラックの販売でカルテルを結んでいたとして、対象企業に総額約29億2,650万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。EUによるカルテルの制裁としては、ブ […]

欧州委員会は19日、欧州のトラック製造大手5社・グループが大・中型トラックの販売でカルテルを結んでいたとして、対象企業に総額約29億2,650万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。EUによるカルテルの制裁としては、ブラウン管カルテルの14億7,000万ユーロを上回り、過去最高額となる。

カルテル関与を認定されたのは独MAN、ダイムラー、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、伊イベコ、オランダのDAF。制裁額はダイムラーが約10億877万ユーロ、DAFが約7億5,268万ユーロ、ボルボ/ルノーが約6億7,045万ユーロ、イベコが約4億9,461万ユーロとなっている。MANは最初に通報したため、制裁を全額免除された。

欧州委は2011年1月、同カルテル疑惑で各社に立ち入り調査を実施し、摘発に乗り出していた。欧州委は最終的に、各社が1997年から2011年にかけて販売価格を取り決めていたほか、EUの環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていたと認定。カルテルが14年間という長期に及んだことなどを重視し、巨額の制裁に踏み切った。

EUではカルテル疑惑が浮上して調査対象となった企業が、調査段階でカルテルへの関与を認めて調査に協力すれば、制裁額を10%減額する和解制度が導入されており、4社・グループには同ルールが適用された。さらに調査協力の度合いに応じて、ボルボ/ルノーが40%、ダイムラーが30%、イベコが10%の減額を認められた。

同カルテルをめぐっては、スウェーデンのスカニアも関与が濃厚で、異議告知書を送付されたが、和解に応じていないため制裁額は決まっていない。