欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2016/12/19

EU情報

EU首脳会議、英離脱交渉の方針確認

この記事の要約

EUは15日、英国を除く27カ国の非公式首脳会議を開き、英の離脱問題について協議した。離脱交渉については、EU側は欧州委員会が主導するといった基本方針や手順で合意。また、英国が離脱後もEU単一市場に残留するためには、域内 […]

EUは15日、英国を除く27カ国の非公式首脳会議を開き、英の離脱問題について協議した。離脱交渉については、EU側は欧州委員会が主導するといった基本方針や手順で合意。また、英国が離脱後もEU単一市場に残留するためには、域内の人の自由な移動など「4つの自由」を受け入れる必要があるという原則を貫くことを確認した。

英国とEUの離脱交渉は、英政府が離脱を正式に通告してから開始されることになっている。今回の首脳会議で決まった手順によると、離脱通告を受けてからEUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)が速やかに27カ国の首脳会議(欧州理事会)を招集し、交渉の方針、原則を決める。続いて加盟国が外相らによる総務理事会を開催し、英国との離脱交渉開始を決定。欧州理事会が欧州委に交渉の権限を付与する。

欧州委はミシェル・バルニエ氏(元仏外相)が交渉の責任者となり、欧州理事会で決まった方針に沿って英国との交渉を進める。方針は交渉の状況に応じて欧州理事会が見直す。交渉は欧州委が主導するものの、加盟国との連携を確保するため、EU議長国の代表が「サポート役」として、すべての交渉に参加する。さらに欧州委は交渉の状況を随時、欧州理事会などに報告する。

一方、離脱交渉の方針に関しては、英国が域内の人、資本、モノ、サービスの自由な移動という「4つの自由」を受け入れない限り、単一市場へのアクセスは認めないという原則を維持することを声明で明記。EUからの移民流入を制限しながら単一市場残留を取り付けることを目指す英政府をけん制した。

欧州委が離脱交渉を主導することをめぐっては、欧州議会が反発し、議会の代表も離脱交渉に加わることを求めていた。加盟国は同要求には応じなかったものの、妥協策として交渉に関する事前協議に議会代表が参加することを決めた。

離脱交渉の期間は原則2年。延長は可能だが、EUと英の双方が同意することが条件となる。英政府は来年3月までに離脱を正式に通告し、交渉を開始する方針を打ち出している。しかし、同国の高等裁判所が11月初め、政府はEUへの離脱通告に際して議会の承認を得なければならないとする判決を下したため、スケジュールがずれ込む可能性がある。