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欧州委がユーロ圏の機構改革案発表、「欧州通貨基金」創設など柱

2017年12月11日発行 No.179号

欧州委員会は6日、ユーロ圏の統合深化に向けた機構改革案を発表した。EU版の国際通貨基金(IMF)となる「欧州通貨基金(EMF)」の創設を柱とする内容。今月中旬に開くEU首脳会議で協議を開始する。

EUではギリシャに端を発した債務危機が深刻化した反省を踏まえ、財政、金融統合を模索する動きが活発化し、これまでに銀行同盟創設構想に基づく銀行監督、銀行破綻処理の一元化が実現した。機構改革案はこれをさらに拡大するもの。英国の離脱決定で揺れるEUの結束を強化する意図もある。

欧州委のユンケル委員長は3月に発表したEUの将来像に関する白書で、選択肢のひとつとしてEUの経済通貨統合(EMU)の深化を提案。これに基づき欧州委は5月、議論のたたき台となる「リフレクション・ペーパー」を公表し、EMF創設などを提唱していた。

今回の機構改革案で正式に提案されたEMFは、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)の機能を引き継ぎ、金融危機に陥った国に支援を行う。さらに、EU内の銀行の破綻処理に活用される「単一破綻処理基金(SRF)」の資金が不足した際の後ろ盾にもなる。欧州議会と加盟国の承認を経て創設する。2019年半ばの決定を目指す。

さらに欧州委は、経済危機に陥ったユーロ参加国の「安定化」を支援するための新たな枠組みを設けることも提案した。対象国が景気回復に向けて通常と同水準の投資を維持できるようにするのが目的で、EU予算とEMFを活用し、融資や金融支援を行う。対象国がEUの財政規律を順守していることが支援の条件となる。

ユーロ圏の機構改革をめぐっては、ユーロ圏財務相会合の議長に代わる常任の「ユーロ圏財務相」を創設する案が浮上していた。これに沿って欧州委は今回、ユーロ圏共通の財務相を設ける案を示したが、加盟国の間で意見が分かれているため、正式な提案ではなく提唱にとどめた。名称についても、将来にEU加盟国のすべてがユーロに参加することを見据え、「欧州経済財務相」とした。

欧州委の案では、欧州経済財務相は欧州委の副委員長とユーロ圏財務相会合の議長を兼任。経済政策の調整などに当たるほか、EMFを監督する。次期欧州委の発足に合わせ、19年11月に創設することを想定している。

ユーロ圏の統合進化に関しては、中東欧諸国など非ユーロ圏諸国から、EU加盟国間で格差が生じるとして懸念する声が出ている。このため欧州委は、仏マクロン大統領が提唱するユーロ圏共通予算創設を盛り込まなかった。ユーロ圏財務相の名称を欧州経済財務相としたのも、このような事情がある。

欧州委は18年6月の機構改革決定に向けて、15日に開くEU首脳会議で協議を開始する。ただ、加盟国の間ではユーロ圏統合深化の方向性をめぐる温度差があり、調整の難航が予想される。

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