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EU・英の離脱交渉が第2段階に、首脳会議が承認

2017年12月18日発行 No.180号

EUは15日にブリュッセルで開いた首脳会議で、英国と進めている離脱交渉について、通商を中心とする将来の関係に関する第2段階の交渉に入ることを承認した。第1段階の交渉に「十分な進展」があったと判断したためで、交渉開始から6カ月を経て、ようやく本題の通商協議に着手する。

英国を除くEU27カ国の首脳会議では、まず「移行期間」をめぐる協議を1月に開始することを決定した。最大の懸案となる通商協議は3月以降に開始される。

英国は2019年3月にEUを離脱することになっている。交渉結果は欧州議会などの承認を得なければならず、その手続きに時間がかかることから、18年10月をめどに交渉を妥結させる必要があり、協議の時間は限られている。このため、英政府は当初、離脱条件に関する協議と、自由貿易協定(FTA)など将来の関係をめぐる協議を同時に進めたい考えだった。

しかし、EU側は最初に過去の清算が必要として、2段階方式で交渉を行うことを決定。まず、英国が拠出を約束したEU予算の分担金など「清算金」の支払い、英国の北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの国境管理問題、在英EU市民とEU内に住む英国民の権利保護の3点について協議し、交渉に「十分な進展」があったと判断すれば、FTAをはじめとする第2段階の交渉に入ることになっていた。

7月に始まった第1段階の交渉は、清算金支払い額などで双方の意見が対立して難航していたが、欧州委員会のユンケル委員長と英メイ首相が8日に行った会談で、大筋合意に至った。これを受けて27カ国は首脳会議で、第2段階の交渉開始を承認した。

「移行期間」の設定は、英国のEU離脱直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため、英政府側が求めているもの。2年程度が想定されている。同期間中は英国がEU単一市場にとどまり、実質的にEU離脱が2年間遅れることになる。

今回の首脳会議では、第2段階の交渉指針を採択。移行期間をめぐり、2年という英国側の要望を念頭に置きながら、実際にどの程度にするかを協議する方針を打ち出した。英国側に対して、将来の関係の枠組みに関する明確な立場を早期に提示するよう求める文言も盛り込んだ。

このほか、英国が移行期間中に◇EU単一市場にとどまるが、EUの意思決定には関与できない◇英国は移行期間中、EU予算拠出の義務を負い、EUの法令に従い、EU司法裁判所の管轄下に置かれる◇EU域内の人の自由な移動など、EUの「4つの自由」に関する原則を順守する――という指針を定めた。

今回の決定によって離脱交渉は大きなヤマを越え、通商協議に焦点が移る。ただ、EUからの移民流入を抑えながら、できる限り有利な条件でFTAを締結したい英国側に対して、EUは「いいとこ取り」を許さない姿勢で、交渉は難航が必至だ。EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)は首脳会議閉幕後に「第2段階の交渉は第1段階より困難になる」と述べた。

また、メイ首相は与党・保守党が6月の総選挙で少数与党に転落するなど政権の求心力が低下している。13日には英下院が離脱交渉の合意内容について、EUとの最終合意に先立って英議会の承認が必要になるという法案を可決した。このためメイ首相は膠着した局面でEU側に歩み寄る余地が狭まり、交渉期限が迫る中で難しい対応を求められそうだ。

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