FBC

ログイン Menu

EUが将来の対英関係めぐる指針案発表、通商はFTAが「唯一の選択肢」

2018年3月12日発行 No.190号

EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)は7日、EUを離脱する英国との将来の関係をめぐる交渉指針の草案を加盟国に提示した。同大統領は最大の焦点となる通商関係について、EUが域外の第三国と結んでいるような自由貿易協定(FTA)が唯一の選択肢になると指摘。金融を含む全分野で通常のFTAより緊密な関係を築くことを求める英国側に釘を刺した。

通商を中心とする将来の関係をめぐる交渉は、現在行われている離脱の「移行期間」に関する協議を終えてから開始されることになっている。今回の草案はEU側の交渉方針を初めて示したもので、今月下旬に英国を除くEU27カ国が開く首脳会議で承認される見込みだ。

同草案は安全保障、外交、テロ対策、EU~英国間の航空サービスなどに関しては、英国の離脱後も緊密な協力を維持していく方針を示した。

一方、通商に関しては、英国が離脱に伴いEUの単一市場、関税同盟から脱退し、EU司法裁判所の管轄から外れる以上、英国が望む特別な扱いはできないと指摘。トゥスク大統領は記者会見で、カナダなど域外諸国と締結しているFTAが「唯一のモデルとなるのは当然だ」と述べた。

英国のメイ首相は2日に行った演説で、将来のEUとの関係について、単一市場と関税同盟から離脱するものの「世界で最も完全な自由貿易協定を結ぶ」と述べ、通常のFTAより広範で深い関係を構築したい考えを示していた。

しかし、トゥスク大統領は英国自らが望んでEUから離脱することを強調し、同国とのFTAは「史上初めて、経済的なつながりを強めるのではなく、緩めるための協定になる」と指摘。合意の目的は「摩擦のない通商関係を築くことではない。現在より複雑でコストがかかるものになる。それが離脱というものの本質だ」と突き放した。

さらにトゥスク大統領は、英国との通商でEU側が黒字となっているモノの貿易については、英の離脱後も全分野で関税をゼロとする方向で交渉する意向を表明。一方、英国にとって唯一の黒字分野である金融を含むサービスに関しては、「他のFTAと同じく対応するべきだ」と述べるにとどめた。また、英国側が金融などでの特別な通商関係の実現に向けた譲歩として、製薬、化学など一部の分野では離脱後もEU規制を維持する方針を示していることについても「単一市場の一部だけを好みで選ぶ」ことは問題外だと批判した。

▲このページのトップへ