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EUと英が離脱後の「移行期間」導入で合意

2018年3月26日発行 No.192号

EUと英国は19日、同国が離脱した後の「移行期間」導入について暫定合意した。これを受けてEUは23日に開いた英国を除くEU27カ国による首脳会議で、移行期間を設けることを決定。さらに通商を初めとする英国との将来の関係をめぐる交渉の指針を採択し、同交渉が4月に開始される見通しとなった。

「移行期間」の設定は、英国の離脱直後に双方の関係が激変し、貿易などに大きな影響が及ぶのを避けるため、英政府側が求めているもの。英国とEUの自由貿易協定(FTA)が離脱日までに締結できない場合に備え、FTA交渉の時間を稼ぐ意図もある。

双方はEUのバルニエ首席交渉官と英政府のデービスEU離脱担当相による協議で合意に至った。これによって英国は2019年3月末にEUを離脱しても、2020年12月末まで1年9カ月間はEU単一市場と関税同盟にとどまる。

しかし、「いいとこ取り」を避けるため、英国は同期間中にEUの意思決定に参加できず、EU予算拠出の義務を負い、EUの法令が適用され、EU司法裁判所の管轄下に置かれる。EU内の人の自由な移動を認めるという原則にも従わなければならない。また、移行期間中に新たに成立したEU法令に従う義務を負う。

移行期間をめぐる協議は2月に開始されたが、EU側の厳しい条件に英国が反発し、話し合いが難航していた。しかし、離脱交渉の本丸となる通商協議に早く着手したい英国側が、移行期間中に英国に移住した他の加盟国出身者に従来と同じような権利を認めるというEU側の要求を受け入れるなど譲歩し、合意に至った。一方、英国は移行期間中に第三国とFTA交渉を開始することが認められる。

移行期間はEUと英国の「離脱協定」に盛り込まれるもので、同協定で合意できない場合は英国が移行期間なしでEUを離脱することになる。

離脱協定をめぐっては、欧州委員会が2月末に公表したEU側の草案で、英国の北アイルランドを離脱後もEUの関税同盟にとどめる案を示した。北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの間で、英の離脱後も人やモノが自由に往来できるようにするのが目的で、北アイルランドをEUが設ける「共通規制地域」に組み込み、EUの関税同盟に事実上とどめるというものだ。

北アイルランドとアイルランドの国境問題については、人やモノの流れを制限しないようにするため、厳しい国境管理を避けることで双方は12月に合意したが、具体的にどのような方法で実施するかは決まっていなかった。

EU側は同案を国境問題の現実的な解決策が見つからない場合の「バックネット」として提示しているが、英政府は国の一部だけが関税同盟に入り、北アイルランドと英本土の間に事実上の国境が引かれるとして反発していた。

バルニエ首席交渉官とデービスEU離脱担当相の協議では、英国側が移行期間での合意を優先して歩み寄り、他の解決策がない場合の選択肢として同案を受け入れることを表明した。国境問題の決着を事実上先送りした形となる。ただ、英国内で北アイルランドが切り離されるとして猛反発する動きが広がるのは必至。英国は同案の実現を回避するため、他の解決策を模索していく方針だが、現実的な対応策は見当たらない状況で、同問題の最終決着が遅れ、離脱交渉が長期化する可能性がある。

離脱交渉で本丸となる将来の関係に関する協議の指針については、EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)が7日に草案を加盟国に提示。これが今回の首脳会議で承認された。

焦点のFTAをめぐっては、英国側は金融サービスを含めて、できる限り現状を維持したい考えだ。これに対してEU側は、モノの貿易については英の離脱後も全分野で関税をゼロとする方向で交渉するものの、金融を含むサービスに関しては特別扱いせず、通常のFTAと同様の制限を設ける方針。金融については、域外諸国の企業に導入しているシステムと同じく、英国の規制がEUと「同等」と認定した場合に限って域内での活動を認めることを提案する。

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