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ユーロ圏がESM強化で合意、共通予算などは先送り

2018年7月2日発行 No.205号

EUは6月29日に開いたユーロ圏19カ国の首脳会議でEUの改革について協議し、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)の機能強化で合意した。しかし、ユーロ圏共通予算の創設など主要な改革ついては討議が行われず、決定は先送りされた。

ESMは金融危機に陥った国に支援を行うため創設されたもの。首脳会議では欧州委員会が昨年12月に発表した改革案に沿って、EU内の銀行の破綻処理に活用される「単一破綻処理基金(SRF)」の資金が不足した場合に、ESMの資金を銀行救済にも活用できるようにすることで合意した。ただ、詳細は固まっておらず、12月の首脳会議までに決めることになった。

EUではギリシャに端を発した債務危機が深刻化した反省を踏まえ、財政、金融統合を模索する動きが活発化し、これまでに銀行同盟創設構想に基づく銀行監督、銀行破綻処理の一元化が実現した。改革案はこれをさらに拡大するもの。英国の離脱決定で揺れるEUの結束を強化する意図もある。仏マクロン大統領の主導で調整が行われてきた。

同改革ではユーロ圏共通の予算、財務相の創設なども浮上しており、ドイツとフランスは6月19日に開いた首脳会談で、共通予算を創設することで合意した。しかし、加盟国の間では共通予算がユーロ参加国間の経済格差是正に使われることについて、財政規律を守る豊かな国が放漫財政の国の尻ぬぐいをさせられるとして難色を示す国が多く、今回の首脳会議では合意に至らなかった。

さらに、銀行同盟の最終段階となる共通の預金保険保証制度(EDIS)を導入する計画についても、銀行が抱えるリスクが低下するまで見送るべきと主張するドイツなどが慎重な姿勢を崩さず、決着が先送りされた。

■英との離脱交渉停滞を懸念

一方、同日に開かれた英国を除くEU27カ国の首脳会議では、英国とEUの離脱交渉をめぐる問題について意見を交換した。各国は交渉期限が迫る中、協議が停滞していることに懸念を表明。採択された文書には、離脱協定を結ばないまま英国が離脱する事態に備える必要があるという文言が盛り込まれた。

英国は2019年3月末にEUを離脱することになっている。離脱交渉の結果は欧州議会などの承認を得なければならず、その手続きに時間がかかることから、今年10月をめどに交渉を妥結させる必要があり、協議の時間は限られている。しかし、北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理問題をめぐる交渉が行き詰まり、協議が停滞。離脱交渉で本丸となる自由貿易協定(FTA)など将来の関係に関する協議も進んでいない。

こうした状況に陥っているのは、英与党内で「ハードブレグジット(強行離脱)」派と、離脱後もEUとできる限り密接な関係を維持することを求める勢力が対立し、政府が板ばさみとなって明確な交渉方針を打ち出せないことが大きい。

首脳会議で採択された文書は、国境管理問題をめぐる交渉に「大きな進展がない」として懸念を表明。また、英国側に将来の関係での「現実的で実行可能な提案」を早期に示すよう求めた。

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