2012/2/22

CIS諸国

トルクメニスタンの門戸開放進まず、ガス資源開発も限定的

この記事の要約

12日に97.14%の圧倒的な支持で再選されたトルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領は、技術改革や研究・開発を支援し、工業化を図ると公約した。しかし、これを実現するのは容易ではなさそうだ。同国は「中央アジアの北朝鮮」 […]

12日に97.14%の圧倒的な支持で再選されたトルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領は、技術改革や研究・開発を支援し、工業化を図ると公約した。しかし、これを実現するのは容易ではなさそうだ。同国は「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれ、欧州復興開発銀行(EBRD)によると、ソ連崩壊後の体制変換が最も遅れている。世界4位のガス埋蔵量をほこり、外国企業が事業の機会をうかがっているが、依然として閉鎖的で企業進出も限定的だ。

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トルクメニスタン経済はエネルギー業界が支えている。ガス・石油部門が国内総生産の70%、輸出の80%を占める。2009年には主要顧客であるガスプロムが調達量を大幅に減らし、50%の減産に追い込まれたことで経済に大きな影響が出た。

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これまでに、中国へのガスパイプラインが開通して問題は解決したが、中国への依存を避けるためにも他の輸出先を模索している。現時点ではイランにもガスを供給している。

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欧州への輸出にも関心のあるところだが、その前提となるナブッコ・パイプライン計画は足踏み状態で、見通しは立っていない。

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このため、アフガニスタン、パキスタンを経由してインドまでパイプラインを敷設する計画も進めている。すでに価格面での合意はみられたが、保安上の懸念が強い。

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一方で国際企業のトルクメニスタン進出については、カスピ海に活動領域が限られてきた。これまでのところ、地上鉱区に足を踏み入れたのは中国石油天然気集団公司(通称ペトロチャイナ=CNPC)だけだ。

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トルクメニスタンは2030年までにガス生産量を現在の3倍の2,300億立方メートルに拡大する意向だ。経済振興には外国からの投資が不可欠。その土台となる法体制・行政システムの改革が実際に進むのかが同国の発展を左右する。

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ベルドイムハメドフ大統領は、ソ連時代から20年にわたって君臨したニヤゾフ前大統領の死後、2007年の選挙で大統領に選出された。ニヤゾフ前大統領とはやや異なるものの、すでに個人崇拝の地盤を築くことに成功した。

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これまでにも経済自由化に向けた施策を行ったが、そのうちのいくつかは再び廃止されており、法的枠組みが安定しない状態だ。投資も保護されているとは言いがたい。2010年末にはロシア移動通信事業者のMTSが免許をはく奪され、携帯電話が利用できなくなった加入者も出た。トルコの建設業界は、総額10億米ドルの売掛債権が未回収としている。

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