2015/4/1

総合・マクロ

ウクライナに10億ドル投資、米ソロス氏が表明

この記事の要約

米国の億万長者で投資家のジョージ・ソロス氏はオーストリア日刊紙『スタンダード』(30日付)のインタービュー記事で、ウクライナに10億米ドル(9億2,100万ユーロ)を投資する意向を表明した。経済再建に貢献することで、ロシ […]

米国の億万長者で投資家のジョージ・ソロス氏はオーストリア日刊紙『スタンダード』(30日付)のインタービュー記事で、ウクライナに10億米ドル(9億2,100万ユーロ)を投資する意向を表明した。経済再建に貢献することで、ロシアとの紛争における同国の地位を間接的に強化できると見込む。ただし、利益が見込まれる投資環境の存在が前提で、その実現には欧米諸国がウクライナ支援に本腰を入れなければならないとみている。

ソロス氏はウクライナが欧州の対ロ政策で重要な地政学的位置を占めることを強調する。また、同国が領土的な側面だけではなく、「司法国家」や「自由」という欧州の根源的な価値を守るためにロシアと戦っているという事実を忘れてはならないと説く。

その上で、問題解決には、ウクライナを経済的に開花・繁栄させ、ロシア国民をプーチン大統領の「おとぎ話(=プロパガンダ)」から目覚めさせるのが効果的と話す。いわば、冷戦下の西ベルリンの再現だ。

ウクライナ経済が自力で成長できるようになるには500億ユーロ程度の投資が要るとみる。ソロス氏自身は10億ドル程度を農業やインフラ分野に投資する用意があるが、利益が上がることがその条件となる。その利益はソロス氏個人ではなく、傘下の財団のものになるという。

資金を呼び込むための投資条件改善では、欧州金利(ゼロに近い金利)でのメザニン債発行などが考えられる。この後ろ盾となることで、欧州連合(EU)はウクライナを支える意思を明確にし、ウクライナ政府が改革を実施する意欲を高められる。

ウクライナのもう一つの課題としては、新興財閥の権力乱用がある。これに関連してソロス氏は、新興財閥でドニエプロペトロフスク州知事を務めていたイゴール・コロモイスキー氏が先ごろ解任されたことを正当と評価した。