2016/4/13

総合・マクロ

ウクライナ首相辞任、次期内閣をめぐる交渉難航

この記事の要約

ウクライナのヤツェニュク首相が11日、議会に辞表を提出した。ポロシェンコ大統領との対立で政権が運営不能に陥っている事態を打開し、政治の停滞に終止符を打つ狙い。ただ、次期内閣の大臣構成をめぐって議会会派間の交渉が難航してお […]

ウクライナのヤツェニュク首相が11日、議会に辞表を提出した。ポロシェンコ大統領との対立で政権が運営不能に陥っている事態を打開し、政治の停滞に終止符を打つ狙い。ただ、次期内閣の大臣構成をめぐって議会会派間の交渉が難航しており、週末までに合意が成立しなければ選挙の可能性もある。

次期首相は大統領の腹心であるヴォロディミル・フロイスマン国民会議(国会)議長(38)でほぼ決定と伝えられていた。しかし、12日の会派間交渉は経済相の人選で平行線をたどり、物別れに終わった。新内閣は大統領の率いる「ポロシェンコ・ブロック」とヤツェニュク首相の「国民戦線」の少数連立政権となる予定で、承認には無所属議員や他政党の支持も必要だ。大統領は週末までに合意が成らなければ議会を解散する方針と伝えられている。

しかし、選挙を行えば財政緊縮で支持率が低下した現与党の急落はほぼ確実。議会がさらに混乱するリスクをはらむ。

国際通貨基金(IMF)は改革の遅延を理由に現融資枠からのウクライナへの送金を拒んでいる。ウクライナは債務不履行(デフォルト)を回避するため、早急な政治機能回復を迫られている。

ヤツェニュク首相は、ヤヌコビッチ元大統領を亡命に追い込んだ独立広場(マイダン)での抗議行動を主導したリーダーの一人。政変後に暫定首相を経て首相に就任した。

首相として、エネルギー業界への助成削減や行政手続きの透明化、銀行改革などを実現する一方で、憲法改革、選挙法改正、汚職対策では成果を挙げられなかった。今年2月には連立与党から3党が離脱するなど求心力を失い、辞任は時間の問題とみられていた。

フロイスマン氏は2006年から14年まで、ポロシェンコ大統領の地盤である中西部ヴィニツァ市の市長を務めた。大統領の率いる与党「ポロシェンコ・ブロック」に属し、法案決議などで党内の意見調整役として手腕を発揮してきた。

ポロシェンコ大統領と利害がつながる「ヴィニツァ・グループ」の後援者ともうわさされるが、フロイスマン氏個人にはこれまで汚職など怪しい情報はない。これが、多数議員による一定の支持を可能にしたもようだ。

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