2016/7/27

総合・マクロ

中東欧の倒産件数が減少‐コファス

この記事の要約

フランスの信用保険大手コファスによると、経済環境の好転により2015年の中東欧の企業倒産件数は13カ国中9カ国で減少、国内総生産(GDP)で調整した平均企業倒産件数でも前年比マイナス14%と大きく減少した。国別ではルーマ […]

フランスの信用保険大手コファスによると、経済環境の好転により2015年の中東欧の企業倒産件数は13カ国中9カ国で減少、国内総生産(GDP)で調整した平均企業倒産件数でも前年比マイナス14%と大きく減少した。国別ではルーマニアとハンガリーの減少幅が大きかった一方、ウクライナでは2桁の増加となった。16年も同地域全体で5.3%減少する見通しだ。

中東欧諸国のGDPは2014年が2.6%増、15年が3.3%増とこの2年間順調に成長してきた。その背景にはユーロ圏の景気の回復を受けた輸出の伸び、失業率の低下と賃金の上昇、低い物価上昇率、商品価格の低迷、歴史的な低金利などが個人消費の増加につながったことがある。また07年から13年にかけて決定された欧州連合(EU)の共同投資基金の支出の最終年度が15年であったため投資計画が駆け込みで実施され、昨年の投資額が大きくなったことも背景にある。

コファスが先ごろ発表した昨年の国別の倒産件数を見ると、減少幅が大きかったのは積極的な財政支出が行われたルーマニアで前年比50%減。一方最も大きく増加したのはウクライナで、ロシアとの紛争を背景とした不景気により前年から20.8%増と2年連続の増加となった。

同地域のほとんどの国では倒産件数の水準は2008年の経済危機前の状況まで回復していない。同年と比較するとチェコの倒産件数は依然として4倍、ポーランドで1.8倍、スロベニアで2.2倍となっている。反対にスロバキアとルーマニアでは危機前を下回っている。

しかし総じてこうした回復基調は今後も続くとしている。2015年の倒産件数の水準は総じて低く、他の新興経済国に比べ有利な経済環境を背景に企業業績の好調は続くという。コファスはこうした見方を背景に、今年に入り同地域のいくつかの国のカントリーリスク評価を改定した。1月にハンガリーを受け入れ可能なリスクを示すA4、6月にはラトビアとルーマニアを同じくA4とした他、リトアニアとスロベニアをさらに1つ上のA3までそれぞれ引き上げた。結果同地域のほとんどの国におけるリスクは受け入れ可能な水準となった。

コファスで中東欧を担当するシエレヴィッツ氏は、労働市場の改善などにより同地域の経済成長の柱となっている家計消費が増加する一方、EUの共同投資基金に関連した新規プロジェクトが少なくなるため投資は昨年ほど大きく伸びず、建設業やその関連部門はその影響を受けるだろうとの見方を示した。また貿易面では中国経済のさらなる減速など世界的な景気の影響が特にドイツに影響し、輸出が伸び悩む可能性を指摘した。