中欧4カ国、自国政府よりEUを信頼

2017/11/22発行 No.1042号

記事分類:総合 - 東欧経済ニュース

ハンガリー、チェコ、スロバキア及びポーランドの中欧諸国で政府や政党に対する国民の信頼感が著しく低いことがわかった。ヴィシェグラード財団などが先ごろ行ったこれら4カ国の市民に対する調査報告によると、欧州連合(EU)への信頼感が自国政府に対する信頼感を上回るなど国内の政権や政治家に対する不信感が根強く、政治的な無関心が拡大している。一部ではその原因として、社会主義政権崩壊後の不透明な民営化や政治の腐敗、社会における格差拡大等、民主主義国家の理想と現実のギャップがあらわになったことなどが政治不信につながっているのではないかと指摘されている。

■政府・議会への信頼感、最も低いのはチェコ

今年6月、ハンガリー、チェコ、スロバキア及びポーランドのいわゆるヴィシェグラード諸国の首脳は欧州委員会に対し、あらゆる分野で国民の信頼感を取り戻すことが必要だとする書簡を発出した。これら4カ国における学術交流や文化交流を支援するヴィシェグラード財団が行った調査によると、政府に対する信頼度は4段階評価のうちの3。一方EUの実施する世論調査、ユーロバロメーターの評価では、オルバン首相率いる現行政府を信頼できるとするハンガリー国民の割合は39%にすぎない。右派ポピュリスト政党「法と正義」が政権を担うポーランドでも、政府を信頼すると答えたのは国民の3分の1にとどまり、議会を信頼するとした国民の割合はさらに低い4分の1にすぎなかった。スロバキアでも政府と議会を信頼すると答えた国民の割合は全体の4分の1。チェコではさらに低く、政府を信頼すると答えた国民の割合は18%、議会については12%だった。一方EUを信頼できると答えた国民の割合は、チェコで30%、スロバキアで43%、ハンガリーで46%と比較的高かった。西欧諸国ではEUに対する信頼度は自国政府に対する信頼度を下回るのが通例だ。

ヴィシェグラード4カ国における政府への信頼感が低い要因として、ワルシャワの公共空間研究所(ISP)のヤチェク・クハルスキ氏は、社会主義時代まで遡る政府に対する不信感のほか、これら諸国における民主主義の歴史の浅さと民主主義国家における理想と現実のギャップを挙げる。同氏は不透明な民営化の過程や政治家の腐敗に加え、社会における格差拡大が背景にあると指摘する。そうした傾向は、社会主義体制の崩壊後に能力のある市民が活躍する機会が増えていないとみる国民の割合が、チェコやポーランドでは全体の40%超に上ることにも表れている。同割合はスロバキアやハンガリーでは半数以上に達している。

■経済は堅調

一方でこれら4カ国の経済は順調に成長している。年間成長率はチェコの4.5%を筆頭に、ハンガリーとポーランドが4%、スロバキアが3.5%と好調だ。しかし国民の見方は異なっており、ハンガリーやスロバキアでは半数以上が経済状況を悪いと捉えているほか、チェコやポーランドでも3分の1以上が同様の見方を示している。また、国が良い方向に進んでいると考える国民の割合は、ポーランドが全体の3分の1、ハンガリーとチェコがそれぞれ4分の1、スロバキアでは22%に過ぎない。ポーランド人の62%、ハンガリー人の73%はさらに、自国に民主主義が根付いていないと答えている。

ハンガリーでは無関心と「希望のなさという壁」が拡大していると研究者は指摘する。一方、右派政権が憲法に反する法律を使い民主主義を揺るがしているポーランドでは、過去5年の間に抗議デモに一度でも参加したことのある市民の数は全体の4分の1に上る。これら4カ国では政党に加入することを拒む国民の割合は実に全体の95%に達しており、政党政治への不信感が根強い。

前出のクハルスキ氏は4カ国の国民感情として、「民主主義が欲しい。ただし政治家抜きで。もっとも、それを手に入れるために自ら関与していこうとは思わない」のが特徴だと結論付けている。

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