西欧のEU加盟国、中国・東欧関係の強化に懸念

2017/11/29発行 No.1043号

記事分類:総合 - 東欧経済ニュース

中国と東欧16カ国が定期的に行っている首脳会議(16+1首脳会議)が27日、2日間の日程で始まった。大型インフラプロジェクトを中心とした協力を進め、経済関係を強化する目的で開かれているが、西欧の欧州連合(EU)加盟国では、中国の真の狙いが東欧を投資で懐柔してEUの政治力を弱めることにあるのではという懸念が強まっている。

中国と東欧16カ国との協力関係は、中国の提唱で2014年に始まった。米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)によると、以来、中国国営銀行の融資で実施が発表された中国企業の対東欧投資プロジェクト総額はおよそ150億米ドルに上る。一方、現行のEU中期予算(2014~20年)で予定される助成額がポーランドだけで800億ユーロに上る事実をみても、中国からの投資があまり多くないことがわかるが、それでも受け入れ国側は同国との関係強化を大いに歓迎している。

西欧のEU加盟国の主な懸念は、(1)中国が東欧のEU加盟国への影響力を行使することで、EUが中国に対して強硬な政策をとれなくなる(2)東欧諸国が中国との関係深化でEUとの交渉力を強める――の2点にある。

(1)についてEU加盟国はすでにその影響を感じている。中国が主張する南シナ海の権益を否認したデン・ハーグ仲裁裁判所の昨年の判決に対するEUの声明は、中国の国名を出さずに「領海問題は国際法に乗っ取り平和裏に解決すべき」との立場を示すにとどまった。その背景には、ハンガリーと、やはり中国からの投資を受け入れているギリシャなどが、明確な中国批判に反対したことがあった。

また、中国の企業が国営銀行の融資保証付きで対EU市場を積極化していることについて、欧州委は公正競争が阻害される可能性を懸念。インフラ、防衛など戦略的に重要な産業分野を対象に、域外企業による欧州企業の買収基準をEUで統一する方向で検討している。しかし、欧州委案の段階でさえ、欧州委には基準に適合しない取引をやめさせる権限がなく、実効性に不安がある。

中国の李克強首相は今回の首脳会議で、東欧16カ国のインフラ整備に総額30億ドルを融資すると約束した。東欧のEU加盟国の輸入高に占める中国の比率は10~15年前の2%から今では6%強に増えている。ただ、中国資本の「大型投資」で実現したのは、中国海運大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)によるギリシャ・ビレウス港の買収(5億ユーロ)ぐらいで、東欧地域では予告にとどまっている案件が多い。

16+1会議には、東欧のEU加盟国であるハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、ポーランド、クロアチア、スロベニア、スロバキア、チェコ、リトアニア、ラトビア、エストニアと、非加盟国のボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、アルバニア、マケドニア、モンテネグロが参加している。

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