欧州委がポーランドへの制裁手続き開始を勧告

2018/01/10発行 No.1047号

記事分類:総合 - 東欧経済ニュース

欧州委員会は12月20日、ポーランドの司法制度改革が政府による司法への介入を可能にし、欧州連合(EU)の基本理念である「法の支配」に反するとして、EUでの議決権停止を含めた制裁手続きに入るよう加盟国に勧告した。加盟国に対する制裁で議決権を含む権利停止の手続きに踏み切るのは今回が初めて。ただ、欧州委はポーランド側が3カ月以内に是正措置を講じた場合、対応を見直す可能性も示している。

ポーランドでは2015年の総選挙で愛国主義的な色彩の強い「法と正義」が政権を掌握。違憲判決を出すのが難しくなるよう憲法裁判所の仕組みを変えたり、放送局や通信社を国営化するなど、司法の独立や報道の自由を脅かす強権的な政策を推し進めている。欧州委は同党が主導する司法制度改革に対して強い懸念を表明し、法の支配の原則を守るよう繰り返し警告してきたが、ポーランド側が新たに最高裁判事の人事権を政府が掌握するための法案を提出したことを受け、昨年7月に同国政府に対して1カ月以内の是正を求める勧告書を送付。改善要求に従わない場合、議決権停止を軸とする制裁措置を発動するための手続きに入ると警告していた。

議決権停止はEU基本条約第7条で定められた、自由・民主主義・人権の尊重および法の支配に対する重大な違反を行った加盟国に対する最も厳しい制裁。加盟国の5分の4以上の賛成で制裁発動のための手続きに入ることができ、実際に議決権を停止するには全会一致の承認が必要。ポーランドと同様に強権姿勢を強めるハンガリーが制裁に反対しており、発動のハードルは高いが、ポーランドへの圧力を強めて是正を促す。

欧州委のティマーマンス第一副委員長は「問題解決に向けた対話の扉は常に開いているが、司法の独立に負の影響を与え、法の支配に対する脅威を増幅させる動きがあれば、欧州委はEU基本条約を守るため適切に対処する責任がある」と強調。ポーランド政府に対して速やかに改善要求に応じるよう求めた。

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