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ポーランド、バルト海に独自のパイプライン建設

2018年2月21日発行 No.1053号

ロシアとドイツを結ぶバルト海天然ガスパイプラインの増設計画「ノルド・ストリーム2」に強く反対するポーランドが、同じバルト海に独自のパイプライン「バルチック・パイプ」を敷設する計画を推進している。資源面に限らずロシアとの距離を広げるとともに、東欧・バルト圏での主導的地位を築きたい政府の思惑が背景にあるもようだ。

ポーランドの政権与党で愛国主義的な色彩の強い「法と正義」は2015年、採算性を理由にストップしていた「バルチック・パイプ」計画の再開を決めた。液化天然ガス(LNG)港のあるシフィノウイシチェを起点に、デンマークを経由してノルウェーの送ガス網に接続するもので、年間輸送能力は100億立法メートル(現在稼働している「ノルド・ストリーム1」の5分の1)。2022年の稼働予定で、総工費は20億ドルと見込まれている。

国営送ガス網運営会社ガスシステムズは建設許可を申請済みで、年内に決定が下される見通しだ。また、国営天然ガス・石油会社PGNiGはすでに新パイプラインの利用(期間:15年)を予約したという。

欧州連合(EU)も、欧州エネルギー・インフラ政策の一環として同パイプライン計画に3,300万ユーロを助成することを決定している。ロシアへの強いエネルギー依存からポーランドを解放する狙い。同じ観点から、EUはシフィノウイシチェLNG基地の建設でも3億ユーロ超を支援した。

ただ、新パイプラインがなくても、ポーランドは他の欧州諸国からガスを輸入できる。特に、リトアニアで2014年に稼働したLNG基地からは、非ロシア産のガスを確実に調達可能だ。同基地がフル稼働に至っていないことをみても、既存インフラを通じてロシア以外からの調達量を増やす余地はある。

それでもポーランド政府が新パイプラインにこだわる理由について、ドイツ国際安全保障研究所(SWP)のキルステン・ヴェストファール研究員は、「ロシアとの距離を置き、同時に東欧・バルト圏で主導権を握るという政治的思惑がある」と分析する。同時に、自国企業の主導による国内ガス市場を形成し、東欧の主要ガス取引国としての地位を築く狙いがあるとみる。LNG港建設が計画されるクロアチアのクルク島とスフィノウイシチェを、欧州を縦断するガスパイプラインでつなぐ計画も含め、これらのインフラプロジェクトはそもそも、ロシア産ガスより安価に資源を調達するという経済的な観点ではなく、ロシア資源への依存からの脱却という政治的目標から出てきたものだ。

しかし、ポーランドの政策については、「EUからの支援を受けながら、あからさまに自国利益を追及している」と、「ノルド・ストリーム2」に参加するドイツ企業などから批判の声もあがる。ポーランドが強硬に反対していることで、計画が足踏み状態になっていることも反感が強まる原因となっている。

BASFの石油・天然ガス子会社ヴィンタースハルのある幹部は「ポーランドは(欧州環境政策にブレーキをかける形で)電源として国産石炭を燃やし続けている。そもそも、天然ガスはポーランドのエネルギー需要において、ほとんど意味はない。それなのに、他のEU加盟国によるロシアからの調達を阻害するのは、スフィノウイシチェで受け入れた米国などのLNGを欧州で販売して稼ぎたいという計算がある」と強く批判している。

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