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ロシア、天然ガス輸送をめぐるウクライナへの姿勢を軟化

2018年5月2日発行 No.1062号

天然ガスの輸送(トランジット)をめぐり、ロシアがウクライナに対する姿勢を軟化させている。ガスプロムのアレクサンドル・メドベージェフ副社長は4月24日、打ち切りを予告していたウクライナ経由の欧州へのガス輸送について、来年以降も継続する可能性を示唆した。ロシアとドイツを結ぶバルト海天然ガスパイプラインの増設計画「ノルド・ストリーム2」の実現が難しくなっている状況を踏まえ、欧州への輸出路を確保する狙いとみられる。

メドベージェフ副社長は24日、ベルリンで開かれた「ロシア・ガス協会」の定例会で、「ウクライナとの現行契約を更新しない」という従来の立場を改めて確認しつつ、「だからといって、ウクライナ経由のガス輸送の終結を意味するわけではない」と明言した。ガスプロムはウクライナ側からの提案を待ち、輸送量や価格などを交渉で詰める用意があるとしている。ミレル社長も先ごろ、条件次第ではウクライナ経由の輸送量を「年100億~150億立法メートルで維持できる」と話しており、メドベージェフ副社長の発言はこれと軌を一にする。

発言の背景には「ノルド・ストリーム2」計画に黄信号がともっていることがある。同計画に対しては、ロシアへのエネルギー依存を脱却したいポーランドや、バルト地域におけるロシアの影響力拡大を警戒する米国などが強く反対しているが、受け入れ国となるドイツは「純粋な経済的事業」として推進する構えだった。しかし、4月初めに行われたメルケル首相とウクライナのポロシェンコ大統領の会談を機に、ドイツ政府は方針を転換。「(同プロジェクトに対しては)地政学的な要素を考慮する必要がある」として、実現に慎重な姿勢を見せている。

もっとも、ロシア産ガスへの欧州の需要は増加している。ガスプロムの対欧州輸出量は昨年、過去最高となる1,940億立法メートルを記録。今年は2,000億立法メートルを上回るとみられている。ガスプロムは最大市場である欧州への輸送路として、ウクライナを選択肢に含めておきたい考えだ。

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