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2014/4/16

経済産業情報

タミフル「効果は限定的」=コクラン共同計画

この記事の要約

医療情報の検証・提供活動を行っている国際研究組織「コクラン共同計画」は10日、世界的な公衆衛生薬となっているロシュのインフルエンザ薬「タミフル」に関するシステマチック・レビュー結果を英国医師会誌(BMJ)に発表し、同薬に […]

医療情報の検証・提供活動を行っている国際研究組織「コクラン共同計画」は10日、世界的な公衆衛生薬となっているロシュのインフルエンザ薬「タミフル」に関するシステマチック・レビュー結果を英国医師会誌(BMJ)に発表し、同薬に否定的な見解を示した。症状緩和にわずかに有益性があるものの、入院率減少、合併症抑制などの効果は確認できず、吐き気など副作用リスクも高まると指摘。有効性より害のほうが大きいとしている。

コクランは、長年にわたる交渉の末にロシュから提出されたタミフルの未公表臨床試験データ20件を元に分析を行った。この結果◇タミフルを服用した成人グループでインフルエンザ様症状が収まるまでの期間は6.3日、プラセボ群では7日と、0.7日しか差がなかった◇小児ではこの期間に有意な差は見出せなかった◇入院や重篤な合併症(肺炎、気管支炎、副鼻腔炎など)を減らす効果は確認できなかった◇成人で4%、小児で5%、吐き気・嘔吐のリスクが増加◇インフルエンザ予防で服用された場合、精神障害のリスクが1%上昇――などが明らかになった。

コクランは、国や自治体が巨額の資金を投じてタミフルを備蓄することに疑問を投げかけたうえで、タミフル服用基準の見直しを政府機関に求めた。

ロシュはコクランの分析結果について「入手した77の研究データのうち20のデータしか分析していない」として、内容の正当性に異議を表明している。