ドイツのディスカウントスーパーが事業モデルの見直しに取り組んでいる。低価格で商品を売り出せば成長を確保できた時代が終わったためで、各社は業績拡大のカギを模索し始めた。
市場調査大手GfKによると、ディスカウントスーパーの1-9月期の売上高は前年同期比で2%減少した。ドイツは小売市場が堅調で、従来型スーパーでは売り上げが伸びている。
背景には消費のあり方が変化していることがあるようだ。ドイツは2000年代半ばまで経済が低調で、雇用情勢も悪かった。ディスカウントスーパーはそうした時代に安値を武器に従来型スーパーから顧客を奪い、事業を拡大してきた。だが、経済の力強い回復に伴い雇用が安定し所得も拡大基調が続くようになったことで、安値一辺倒の販売戦略は効果が弱まっている。
事態の打開に向けて各社は店舗デザインの強化や取扱商品の見直し、顧客ロイヤリティの向上に取り組んでいる。アルディ・ジュドが西南ドイツのカールスルーエにオープンした店舗は木材基調の明るい売り場で、ドイツでは珍しいトイレを設置。コーヒーメーカーを備えたベンチも置かれている。
商品アイテムでも各社はここ数年、従来は取り扱ってこなかった鮮魚や冷蔵肉、焼き立てパンを販売している。
顧客ロイヤリティの向上に向けてはリドルがテレビでイメージ広告を展開。アルディ・ジュドは約50店舗に電気自動車(EV)の無料充電ステーションを開設した。親子連れを呼び込むためにトレカも配っている。アルディグループが9月に米ナップスターと提携し音楽ストリーミング市場に参入したのは若い消費者を引き付けるためだ。