自動運転の普及にらみ法改正、自動走行時のメール作成などが可能に

2017/04/05発行 No.1133号

記事分類:総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツ連邦議会(下院)は3月30日、政府提出の道路交通法改正案を可決した。同改正法案は加速・操舵・制動を基本的にシステムに委ねることができるレベル3の自動運転車の今後の普及をにらんだもので、ドライバーと車両メーカーの法的責任を明確化。事故が起きた際に誰が責任を負うのかを判断できるようにする狙いだ。法案は自動走行時のドライバーの注意義務を政府案よりもやや緩和する方向に修正したうえで可決された。

ドイツには現在、レベル3を想定した自動運転に関する法的な規定がなかい。このため事故の際の責任の所在は明らかでなく、メーカーが高度な自動運転車を開発しても販売できない懸念があった。

今回の道交法改正案にはこれを踏まえ、自動運転システムは特定の時間・状況下でドライバーに代わって運転を引き受けることができるとの規定が盛り込まれた。ドライバーが運転を行わなければならないのは緊急時やシステムから要請された場合に限られる。システムからの要請は視覚、音響、触覚、そのほかの認知可能な手段で運転手に伝えられなければならない。

事故が起きた際の責任の所在を明確化するため、車両には航空機の“ブラックボックス”に相当する機能の搭載が義務づけられる。これにより運転データを解析し事故がドライバーに起因するのか、それともシステムに起因するのかを判断しやすくする。システムが原因の場合は製造元が責任を負うことになる。

ブラックボックスには◇事故が起きた際に運転していたのがシステムなのか運転手なのか◇車両に故障が発生していなかったか◇車両がいつどこにあったか――という計3種類のデータが記録される。保存期間は原則6カ月で、事故後は3年に延長される。

政府法案ではシステムからの要請があった場合、運転手は「速やかに(unverzueglich)」運転を引き受けなければならないと記されているだけだった。これに対しては、運転手は交通状況に絶えず注意を払っていなければならなくなり、メールを書くなど他の作業を実質的にまったくできなくなるといった批判が専門家から出たことから、政府与党はシステムからの要請を「認識できる状態(wahrnehmungsbereit)」にあれば、運転手は自動走行時に道路を注視していなかったり、ハンドルから手を放せることを明確化した。

ただし、運転の最終責任は運転手が負うことから、タイヤがパンクしたり、必要もないのにシステムがブレーキをかけるなど車両に明らかに異常があることが分かった場合は、要請がなくても速やかに運転を引き受けなければならない。

自動走行中に読書、消費者の3分の1が希望

自動運転車に対する消費者の期待は比較的高い。独情報業界通信連盟(Bitkom)が2月に発表したアンケート調査報告によると、自動運転車に何らかの期待を持っているとの回答は66%と全体の3分の2を占めた。具体的には渋滞緩和が44%で最も多く、これに燃費改善(40%)、交通安全の全般的な向上(34%)、搭乗者の安全の向上(27%)、走行中に運転以外のことができる(25%)が続いた。

「自動走行中に何をしたいですか」との質問に対しては同乗者との会話が53%で最も多く、2位は交通状況の注視(44%)だった。3位以下は読書(34%)、映画鑑賞(24%)、仕事(15%)、睡眠(7%)の順で、交通状況にまったく注意を払うことができない事柄が続いている。

政府法案の修正は走行中に運転以外のことを行いたいという消費者のニーズに見合っており、自動運転車の普及を後押しする効果が期待されている。Bitkomのベルンハルト・ローレーダー専務理事は「自動車大国ドイツは自動運転分野でも世界トップを獲得できる」として、歓迎の意を示した。

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