企業のデジタル化評価は肯定的、売上増44%に 雇用は縮小

2017/12/20発行 No.1168号

記事分類:総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は19日、デジタル化に関する企業アンケート調査の結果を発表した。デジタル化の進展で「売上が増加する」などの肯定評価が多かった一方で、支出増など負担の拡大やセキュリティリスク、標準の欠如といった問題も鮮明になっており、次期政権は産業競争力を維持・向上させるために適切な対策を迅速に打ち出すことを求められそうだ。

アンケートはDIHK会員企業1,806社を対象に11月10日から17日にかけて実施された。回答企業の業種別の内訳は製造が25%、建設が4%、流通が18%、運輸が7%、ホテル・飲食が5%、情報・通信が8%、金融が10%、その他のサービスが23%となっている。

同調査レポートによると、「デジタル化に完全ないし良く対応している」との回答は27%に上り、前年の25%から2ポイント増加した。対応は情報・通信業界で特に進展。その他の業界でも数値が改善しており、事業のIoT化などに取り組んでいることがうかがわれる。

「デジタル化の効果で売上高が増加する」との回答は44%に上り、「減少する」(5%)を39ポイント上回った(グラフ1を参照)。昨年は売上増と売上減の差が35ポイントにとどまっており、デジタル化は全般的にみて事業の拡大につながっているもようだ。

売上増との回答は情報・通信で最も高く、70%に達した。これにホテル・飲食が61%で続き、製造業は全体の平均と同じ44%だった。その他の業界もおおむね40%前後を保っている。建設は19%とダントツで低かった。

「新しい事業モデルによりチャンスが増える」との回答も67%と多く、「チャンスが減る」(1%)を大幅に上回った。

ただ、事業のデジタル化はコストの拡大にもつながっており、「投資額が増える」との回答は87%、「再教育措置が増える」も87%に達した。

従業員数に関しては「増加する」が18%にとどまり、「減少する」(19%)を1ポイント下回った。業界別でみると、金融は減少との回答がダントツで多く、61%に達した。増加は5%に過ぎず、減少は増加を56ポイントも上回っている。このほか、交通と製造でも減少が増加を比較的大きく上回っており、その差はそれぞれ7ポイント、6ポイントに上った。

ブロバン構築が次期政権の重要課題に

デジタル化に関して次期政権に強く求める事柄に関しては「ブロードバンド通信網の全国敷設」が88%で最も多かった(グラフ2を参照)。ドイツでは一般的に、都市部を除いて通信速度が遅く、IoT化の大きな障害と目されていることが背景にある。DIHKのエリック・シュヴァイツァー会長は「この点については追い越し車線に入り、光ファイバー通信網を構築しなければならない。中小企業が多い地方部への敷設は特に重要だ」と明言した。

「データの経済利用の法的な安全性の確保」を求める企業も65%と多かった。ドイツは経済法制面で全般的に優れているものの、デジタル分野では後手に回っているためで、同会長はデジタル時代に見合った法制を整備しないと産業立地競争力が低下すると警鐘を鳴らした。

「公正な競争環境の確保」を要求するのは19%にとどまった。ただ、流通業に限ると49%と高い。DIHKはこれについて、デジタルプラットフォームを利用した新しいタイプの競合が登場しているうえ、欧州連合(EU)域外の競合が税や安全・リサイクリング規制を回避する形で商品を販売していることが背景にあると指摘。公正な競争環境を保つためには、こうした現状を踏まえた法改正が必要だとの見解を示した。

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