世界経済加速で景気に厚み、個人消費に続き外需・投資も柱に

2018/01/10発行 No.1169号

記事分類:総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツ経済は明るい新年を迎えた。1年前は米トランプ政権の成立や英国の欧州連合(EU)離脱決定など保護主義やナショナリズムの動きが世界的に強まり、企業の輸出や国際事業の先行きに影を落としていたが、昨年は時間を追うごとに世界経済が加速。ドイツの景気は内需に加え外需も活性化し、厚みを増している。

同国の経済はここ数年、内需主導で拡大が続いている。成長のけん引車は個人消費で、2016年の実質国内総生産(GDP)成長率1.9%に対する寄与度は0.8ポイントに達した。雇用の安定と所得の拡大、歴史的な低金利を背景に高額商品の購入意欲が高まっていることが大きい。最近は食料品の分野でも価格よりも品質を重視する傾向が強まっている。

一方、外需は低迷が続いていた。世界経済や欧州経済が低迷していたためで、GDP成長率に対する外需の寄与度は13年がマイナス0.4ポイント、14年が0.3ポイント、15年が0.2ポイント、16年がマイナス0.1ポイントと振るわなかった。

だが、17年は第1四半期の成長率0.9%(前期比実質)に対する外需の寄与度が0.6ポイントに達し、内需(同0.3ポイント)を大きく凌駕。第2四半期はマイナスに落ち込んだものの、第3四半期は0.4ポイント(GDP成長率0.8%)へと回復した。

世界経済の加速を受けて企業の投資意欲も高まっており、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)が昨秋実施した会員アンケート調査では、今後1年間の投資額を「増やす」企業と「減らす」企業の差が前回調査(初夏)の17ポイントから19ポイントへと拡大し、過去最高を更新した。景気の柱は従来の個人消費から輸出、投資へと拡大し始めている。

景況感良好の業界が大幅増加

景気加速の手ごたえは財界系シンクタンクIWドイツ経済研究所が国内の48業界団体を対象に実施した恒例の年末アンケート調査結果にも反映されている。それによると、「業界の景況感が1年前に比べて改善した」との回答は前年の15団体から26団体へと大きく増加。「悪化した」は信用組合と食品製造の2業界団体にとどまり、前年(9団体)の4分の1以下に減少した。景況感は自動車、電機、化学、新薬、卸売・貿易などドイツの主要業界で改善している。また、投資の拡大を背景にリース業界団体の景況感も「横ばい」から「改善」へと明るさを増した。

信用組合の景況感が悪化したのは低金利と競争激化で利益を圧迫されているため。貯蓄銀行と民間銀行の景況感も「横ばい」にとどまった。食品業界では競争圧力とコスト上昇が圧迫要因となっている。

「18年は生産高ないし実質売上、利益が増加すると思いますか」との質問でも、「増加」は33団体に達し、前年の25団体から拡大した。鉄鋼・金属加工と建設では見通しが特に明るく、「大幅増加」を見込んでいる。「減少」回答は8団体から2団体(信用組合と鉱業)へと大きく後退した。

投資の拡大を予想する業界団体は24団体で、前年の18団体から増加した。自動車、電機、機械、化学など製造業の主要業界のほか、低金利に苦しむ民間銀行、貯蓄銀行、信用組合でも拡大する見通し。背景には事業のデジタル化が金融業界の今後の競争力のカギを握るという事情があり、各社は苦しい台所事情を抱えながらも投資を拡大しなければならない状況だ。投資の縮小を予想するのは鉱業とセラミックの2業界団体だけだった。

雇用拡大を見込むのは昨年の15団体から19団体へと増加した。自動車、電機、化学など主要な輸出産業のほか、建設、手工業、物流、ITでも雇用は増える見通し。建設と手工業は住宅などの需要拡大、物流はネット通販の成長、ITはもののインターネット(IoT)などデジタル化の深化が追い風となっている。

雇用の拡大を受けて人材不足が深刻化する企業は増えている。DIHKの昨秋の会員アンケート調査では事業のリスク要因として「専門人材の不足」を挙げる企業が56%に達し、前回調査の51%から5ポイント増加した。1年前の16年秋は48%、2年前の15年秋は42%と相対的に少なかった。失業率の低下が続いていることから、人材探しは今後さらに難しくなる恐れがある。

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