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ディーゼル車の走行禁止が現実に、最終手段として最高裁が認める判断

2018年2月28日発行 No.1176号

独シュツットガルト市とデュッセルドルフ市で人体に有害な窒素酸化物(NOx)の濃度が欧州連合(EU)基準を上回っているのは問題だとして環境保護団体ドイチェ・ウンベルトヒルフェ(DUH)がディーゼル車の市内走行禁止を早期に実施するよう求め両市の地元バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州とノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州をそれぞれ訴えていた係争で、最高裁の連邦行政裁判所(BVerwG)は27日、ディーゼル車の走行を禁止することに法的に問題はないとの判断を示した。NOx基準の順守という目的を達成するための手段が過度なしわ寄せをもたらさない限り排ガス性能の低い車両の走行を禁止できるとしており、ディーゼル車の市内乗り入れ禁止がドイツで初めて実施される見通しとなった。

欧州連合(EU)加盟国はNOxの濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツではベルリン、ミュンヘンなど数十の都市・地域で同規制を順守できない状況が続いており、欧州委員会はドイツを欧州司法裁判所(ECJ)に提訴する方向で準備を進めている。

DUHは同ルールの順守に向けた大気浄化計画の作成義務を負う国内の多くの州を相次いで提訴。シュツットガルトを巡る係争では昨年7月、欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車と「ユーロ2」以下のガソリン車を対象に同市での走行禁止を地元の行政裁判所が言い渡した。デュッセルドルフの係争でもNRW州が作成した大気浄化計画は不十分だとする判決を地元行政裁が下した。

BW州とNRW州はこれらの判決を不服として連邦行政裁にそれぞれ飛越上告した。

連邦行政裁は今回の判決で、ディーゼル車の走行禁止がNOx基準順守の唯一の手段であるならば、走行禁止はやむを得ないとの判断を明示した。ただ、禁止措置の実施に際しては、目的を達成するためにはそれに見合った妥当な手段を用いなければならないという「相当性の原則」を守らなければならないとも明言。過度なしわ寄せが出るのを避けるために、手工業者や特定の住民グループに対しては禁止措置の適用を見合わせる必要があると指摘した。

車両識別のステッカーが不可欠に

下級審判決が今回、支持されたことから、シュツットガルトではユーロ5以下のディーゼル車とユーロ2以下のガソリン車の走行が禁止されることになる。連邦行政裁の裁判官はこれに関して、相当性の原則を踏まえて手工業者などを禁止対象から除外するほか、禁止対象とする車両を当初は排ガス性能が特に低い車両に限定し、ユーロ5対応のディーゼル車への適用は2019年9月1日以降とするよう言い渡した。

デュッセルドルフに関しては、ディーゼル車の走行禁止がNOx基準順守の唯一の手段であることが明らかになった場合は、そうした措置を考慮に入れるよう命じた。

排ガス性能の低い車両の市内乗り入れを実効的に禁止するためには、欧州排ガス基準のレベル(ユーロ5やユーロ6など)に応じた色別のステッカーを車両に貼付し、国内を走行する各車両がどのレベルに該当するかが一目で分かるようにする必要がある。ドイツではバーバラ・ヘンドリックス環境相(社会民主党)がそうしたステッカーの導入を目指したものの、連立与党のキリスト教社会同盟(CSU)が強く反対したため実現していない。だが、ステッカーの導入は今回の判決内容を実行するために欠かせないことから、次期政権の緊急課題となりそうだ。

今回の判決はユーロ5以下のディーゼル車の価値が大きく下がることを意味する。NOxの濃度が高い都市で走行できなくなるためで、当該車両を持つドライバーの間には自動車業界は補償を行うべきだとの声が出ている。ドイツの自動車メーカーはディーゼル車を長年、地球温暖化防止に寄与する「クリーンな車」として売り込んできた経緯がある。

ディーゼル車は温暖化効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量がガソリン車よりも少ない。このため、ガソリン車に比べると温暖化効果が小さい。だが、NOxの排出量は極めて多く、大気中のNOxの60%はディーゼル車に由来している。

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