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欧州外国直接投資が過去最高に、独は高評価も通信インフラに問題

2018年6月13日発行 No.1190号

投資先としての欧州の魅力が高まっている。監査法人大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調査によると、欧州を対象とした2017年の外国直接投資の件数は前年比10%増の6,653件となり、5年連続で拡大。過去最高を更新した。イタリアなど南欧諸国の財政・金融リスクや英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)などマイナス要因を抱えているものの、景気や労働市場の回復、仏マクロン政権の国内・EU改革に向けた取り組みを世界の企業は高く評価しているもようだ。

EYが国際的に活動する世界の505社を対象に「最も魅力的な投資先地域3カ所」を質問したところ、最も回答が多かったのは西欧で、53%に上った。2012年の調査に比べると増加幅は20ポイントに達する。2位は中国で42%、3位は東欧で41%だった。北米は米トランプ政権の保護主義政策が響いたもようで、前年の39%から34%へと大きく落ち込んだ。

欧州のなかではドイツを最も魅力的な投資先国とする回答が最大で、前年と同じ66%に上った。2位には11ポイント増の56%と急増したフランスが前年の3位から浮上。英国は3ポイント減の52%となり、3位に転落した。4位イタリアは11%と上位3カ国に大きく水をあけられている。(下のグラフ参照)

ドイツ進出をすでに果たしている企業210社に同国の産業立地政策に対する評価を尋ねた質問では「良い」との回答が74%に達し、前年を4ポイント上回った。立地条件としては交通・物流インフラ、労働力の質、社会環境、政治・法・規制の安定・透明性が特に高く評価されており、これらの項目では75%以上が肯定評価を下した。(下のグラフ参照)

ただ、通信インフラに関しては肯定評価の割合が前年の76%から66%へと10ポイント低下。前々年に比べると減少幅は18ポイントに達した。

背景にはIoTなど経済のデジタル化が今後急速に進む見通しのなかで、その前提となる高速通信網の整備が遅れていることがある。これを反映し「新しいデジタル事業モデルをドイツで推進しやすいと思いますか」との質問に「はい、間違いなくそう思います」と回答したのは15%で、前年の28%から13ポイントも落ち込んだ。EY独法人のフベルト・バルト社長は、光ファイバー通信網の整備などデジタル経済の枠組み条件を創出することは政府の緊急課題だと指摘した。

対仏直接投資が急増

欧州での昨年の外国直接投資を国別でみると、最も件数が多かった受入国は英国で、前年比6%増の1,205件へと拡大した。米国企業の投資が16%増の334件と大幅に増えたことが大きい。バルト社長は「ブレグジット交渉が難航しているにもかかわらず、離脱後も英国からEU域内市場にアクセスできると考えている企業が多いもようだ」との見方を示した。

対欧投資の受け入れで2位となったのはドイツで、6%増の1,124件に上った。米国企業を除いたベースでは英国よりも多い。3位はフランスで31%増の1,019件と大幅に伸びた。

欧州での外国直接投資件数が最も多い投資元国は米国で、1,381件(前年比8%増)に上った。これにドイツが664件(1%増)で続く。3位は英国で464件(35%増)、4位は中国で341件(+0%)、5位は日本で327件(+24%)だった。英国の件数が大きく増えたのは、ブレグジット後もEU域内市場へのアクセスを保ちたいという思惑があるためだ。

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