所得税法第4条5項2番によると、接待交際費は原則、経費として損金算入が可能です。しかし、接待の理由が個人に帰するものである場合(例:誕生日、勤続XX年祝賀会)は必ずしもこの限りではありません。ミュンスター税務裁判所は、接待交際費の損金算入の可否を接待の理由のみならず、諸々の事情も考慮されるべきであるとの判決を下しました。(2015年5月29日 4K3236E)
今回争点となっているのは従業員の送別会費です。ミュンスター税務裁判所はこの送別会の開催理由を職務上のものと判断しました。雇用者が変わることを送別会で公にするのは雇用関係の延長上であると解釈されます。
招待客は同僚、上司、もしくは顧客といった会社関係者のみで、親戚、家族、知人、友人が含まれていない点からも、この送別会が個人的理由により開催されたものではないという見解を裁判所は示しています。さらに雇用者が送別会の企画に参画したという事実も通常の私的な送別会とは異なります。
裁判所は、招待客及び会場を決定した従業員を送別会の主催者と見做し、送別会の費用約5,000ユーロに関してはその従業員が確定申告にて給与所得より経費計上できます。