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2023/8/23

東欧経済ニュース速報

トルコで過去最大の環境プロジェクト、グリーン水素バレーを構築

トルコ北西部バルケシル州でグリーン水素プロジェクト「HYサウス・マルマラ」が 進行している。国内企業12社及びサバンジュ大学が共同運営しているもので、トル コの脱炭素化に貢献する狙い。2028年6月末までに総額3,600万ユーロ強を投資す る。トルコの環境プロジェクトへの支出額として過去最大だ。このうち800万ユー ロ弱を欧州連合(EU)からの助成でまかなう。 グリーン水素の生産設備は港湾都市バンドゥルマに設置される。同地は国内風力発 電能力の21%を擁し、再エネ生産能力が国内需要の13%に匹敵するほど大きい。グ リーン水素の製造の前提条件である再エネの存在がクリアされているため、電解設 備さえあれば生産を始められる。 トルコはまた、世界一の埋蔵量を誇る国内ホウ酸産業とグリーン水素を組み合わせ た新事業の立ち上げを目指している。水素の貯蔵材として知られる水素化ホウ酸ナ トリウム(SBH)の生産がそれだ。SBHは体積エネルギー密度が高いため、水素を電 気自動車(EV)だけでなく、ジェット機の燃料としても活用できると期待されてい る。 グリーン水素プロジェクトは、トルコの輸出政策とも絡んでいる。重要な輸出先で あるEUが、気候変動対策が不十分な国からの輸入品に事実上の関税をかける「炭素 国境調整メカニズム(CBAM)」を来年から導入することに対応する。