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2023/11/9

ドイツ経済ニュース速報

エンジン大手ドイツが水素発電セット量産、中国からの大型受注受け

独エンジン大手ドイツ(Deutz)は9日、水素を燃料とする発電セットの生産計画を発表した。中国から100セットを受注したことから、同社初の量産をケルン市ポルツ地区の工場で2024年末から開始する。新事業戦略「デュアル+」の効果が出てきたとしている。 中国の顧客に納入する水素発電セットは当初、製造工程で発生するグレー水素を用いて運転される。ドイツによると、従来型の発電に比べ二酸化炭素(CO2)排出量を1セット当たり年に最大800トン削減できる。将来的には再生可能エネルギー電力ベースのグリーン水素に切り替えられるという。 デュアル+は炭素中立へと向かう市場動向を踏まえゼロエミッションのグリーンな技術の開発を加速するとともに、化石燃料を用いる従来型のエンジン事業も当面、強化するというもので、1月に発表された。ディーゼルエンジンの需要は長期的に縮小していくものの、農機や建機、大型トラックなどの分野では今後も需要が見込まれることから、同分野の事業を強化していく。競合企業がディーゼルエンジン市場から撤退することを追い風として利用する考えだ。将来の主力となるグリーン事業分野では水素や合成燃料を用いるゼロエミッションエンジンやモーターの開発に注力。電動建機用の充電設備など周辺製品も拡充していく。