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2022/7/19

ドイツ経済ニュース速報

エネルギー大手ユニパー、政策金融機関の全融資枠を利用へ

ロシア産天然ガスの供給削減で資金繰りが急速に悪化している独エネルギー大手ユニパーは18日、政策金融機関KfWの全融資枠20億ユーロを利用することを申請したと発表した。親会社であるフィンランド国有同業のフォータムが提供した総額80億ユーロの融資、融資保証の大半を使い切ったことから、KfWの融資枠を活用する。KfWに対しては融資枠の拡大も申請した。 ユニパーはロシア国営ガス会社ガスプロムがガス管「ノルドストリーム1(NS1)」の供給量を6月中旬から削減したことを受け、資金繰りが悪化している。スポット・先物市場で割高な天然ガスを調達しなければならなくなったためだ。都市エネルギー公社などドイツ国内の顧客には調達コストの上昇分を一定期間、転嫁できないことから、運転資金の確保が難しくなっている。 同社はこれを受け8日、公的支援を政府に申請した。支援策は現在、策定中だが、フォータム、フィンランド政府との利害調整が難航している。 調整が長引けば長引くほどユニパーの資金繰りは悪化する。クラウスディーター・マオバッハ社長は、ロシアが供給削減を止めるか、調達コスト上昇分の迅速転嫁を政府が解禁しない限り問題は解決しないと強調。エネルギー安定確保法(EnSiG)に基づく価格転嫁メカニズムを速やかに発動するよう政府に促した。 同社は支出を抑制するため、国内のガス備蓄を11日から取り崩していることも明らかにした。すでに2テラワット時(TWh)強を取り崩している。