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2019/10/15

ドイツ経済ニュース速報

再可エネ助成分担金3年ぶり上昇、風力発電の札割れ響く

独連邦ネットワーク庁は15日、再生可能エネルギー電力向けの助成分担金が今年の1キロワット時(kWh)当たり6.405セントから来年は6.756セントへと5.5%上昇すると発表した。同分担金の上昇は3年ぶり。これまでは再生エネの買い取り価格を入札で決めるルールの導入が奏功し2年連続で低下していたが、最近は陸上風力発電設備の助成金割り当て入札で札割れが起こり、助成金支出が膨らみ始めていることから、来年の分担金が引き上げられることになった。 ドイツでは再生エネの普及を促進するため、同電力に助成金を出している。助成金は電力料金に上乗せされるため、最終的に消費者や企業が消費量に応じて分担する。 再生エネは2016年まで、固定価格で買い取ることが再生可能エネルギー法(EEG)で義務づけられていた。だが、買い取り価格で得られる収入は発電施設の設置・運営コストを大幅に上回り、施設を設置すれば確実に利益を得られることから、再生エネ発電施設を設置する企業や投資家、市民が急増。これにより再生エネを大幅に拡充するとした政府の思惑は満たされたものの、消費者や企業の負担は限界に達していた。 こうした状況を改めるため、再生エネ発電施設の新規設置を入札によって決める制度が17年から本格導入された。低価格での買い取りを提示した事業者が落札することから、買い取り総額の膨張に歯止めがかかる仕組みだ。 陸上風力発電では当初、応札が入札規模を上回り、落札価格の抑制機能が働いていたものの、設置プロジェクトを取り巻く環境の悪化を受けて、最近は応札が大幅に減少。今年は札割れが続いている。直近の入札では入札枠500メガワット(MW)に対し応札が187MWにとどまり、競争を通した助成額の引き下げという入札制度本来の機能が発揮されなかった。 同庁によると、来年は再可エネ電力の買い取り総額が336億ユーロに上る見通し。そのうち90億ユーロは電力取引所での売却でカバーされる。残り246億ユーロは助成分担金を通して消費者などが負担することになる。 政府は消費者の同分担金負担を軽減していく方針を打ち出している。第一弾として21年に1kWh当たり0.25セント引き下げる計画だ。