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2022/10/27

ドイツ経済ニュース速報

VWが自動運転技術開発でフォードとの協業解消

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは26日、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転分野と、移動サービス(MaaS)・トラック輸送サービス(TaaS)分野の提携先を整理すると発表した。競争力の高い機能を迅速かつ必要最低限のコストで顧客に提供できるようにする狙い。これに伴い米同業のフォードと進めてきた自動運転技術の共同開発を打ち切る。 VWグループではADAS・自動運転の開発をソフトウエア子会社カリアド、MaaS/TaaSの開発をVWブランド商用車(VWN)がそれぞれ中心となって進めている。カリアドは今後、ADAS・自動運転の開発を中国では地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)、それ以外の地域では独ボッシュと共同で実施。フォードとの協業を止める。 ボッシュとは都市部、地方、高速道路で部分的に手放し運転が可能な「レベル2」、および高速道路で運転をシステムに全面的に委ねることができる「レベル3」の自動運転システムを開発する。レベル2については2023年から車両への搭載を開始する予定だ。 VWNもMaaS/TaaSの開発パートナーをフォードから他の企業へと切り替える。新たなパートナーについては近日中に公表する意向。電気自動車(BEV)のマイクロバス「ID.バス」を利用して25年から独ハンブルクで開始予定のMaaSについては、すでに新パートナーがプロトタイプ車のテストプログラムを実施している。 VWは19年、自動運転技術の開発でフォードと合意し、フォードの自動運転技術開発子会社アルゴAIを合弁会社へと転換した。出資比率は両社とも40%で、残り20%はアルゴAI従業員向けの報酬部分が占めている。VWはアルゴAIへの出資を今後、行わない。フォードもアルゴAIへの出資で27億ドルの減損を計上する。 メディア報道によると、アルゴAIは清算される可能性がある。VWはアルゴAIの従業員が今後も自動運転分野のプロジェクトに携われるよう支援する意向を表明しており、自社への移籍などを働きかけるもようだ。