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2022/9/16

ドイツ経済ニュース速報

一時金3000ユーロまでは税・社会保険料免除

ドイツのオーラフ・ショルツ首相は15日、首相官邸で雇用者団体、労働組合の代表と会談し、労使協定で取り決める一時金が年3,000ユーロ以内であれば税金と社会保険料を全額免除する意向を表明した。インフレ高進を踏まえた特例措置で、被用者の手取り収入を増やすほか、物価と賃金が連動しながら上昇していく悪循環入りを回避する狙いだ。 ドイツのインフレ率はロシアのウクライナ侵攻を受けて3月に前年同月比7.3%(ドイツ基準)となり、前月の同5.1%から急上昇した。化石燃料価格が高騰したためで、インフレ率は4月以降も7%台で推移している。家計負担を軽減するために政府が導入した自動車燃料税引き下げなどの時限措置が8月末で終了したことから、9月以降は8%を超える見通しだ。 物価高騰を受け、労働組合は大幅なベースアップを雇用者側に要求している。すでに鉄鋼業界では6.5%、港湾業界では最大14%、航空大手ルフトハンザの地上職では13.6~18.4%のベアが取り決められた。金属労組IGメタルは今月始まった労使交渉で8%を要求している。 物価上昇に合わせて賃金を引き上げると、値上げしやすい環境ができ、賃金物価スパイラルの悪循環に陥るリスクが高まる。インフレに賃上げでなく一時金の支給で対応すれば同リスクが低下することから、政府は一時金の税・社会保険料負担を免除する方針を打ち出した。労使交渉で一時金支給をメインとする協定が取り決められることを期待している。 首相は家計と企業の大きな負担となっているガス、暖房、温水、プロセス熱価格の高騰対策を検討するため、諮問委員会を設置することも明らかにした。同委はこれらの価格を抑制するための提言を10月にも行う予定だ。