ヨーロッパの最新経済・産業ニュース・企業情報を
欧州経済の中心地ドイツからご提供

2023/11/8

ドイツ経済ニュース速報

シーメンス・エナジーの電解スタック合弁が量産開始

エネルギー設備大手の独シーメンス・エナジーが工業ガス大手の仏エア・リキードとベルリンに合弁で設置した工場の開所式が8日、行われた。同工場はシーメンス・エナジー初の水電解スタック量産工場で、顧客企業が競争力のある価格でグリーン水素を生産できるようにする狙いがある。持続可能な水素経済構築に寄与すると期待されていることから、式典にはドイツのショルツ首相、ハーベック経済相、フランスのレスキュール産業相など両国の要人が出席した。 新工場はシーメンス・エナジーが74.9%、エア・リキードが25.1%を出資して開設された。年産能力は当初1ギガワット(GW)で、2025年までに3GW以上へと引き上げられる。 3GWではグリーン水素を年平均30トン生産できる。これを仮に人口26万人のアーヘン市で化石燃料の代替燃料として投入すれば、同市の二酸化炭素(CO2)排出をゼロに引き下げることができるという。 新工場ではプロトン交換膜(PEM)型電解スタックを生産する。完成品である電解槽への組み立ては独西部のミュルハイム・アン・デア・ルールにあるシーメンス・エナジーの工場、ないし顧客企業がプロジェクトを実施する地域で行う。 エア・リキードが仏ノルマンディー地方で実施するプロジェクト「Normand’Hy」に投入されることがすでに決まっている。同プロジェクトはポートジェローム近郊にあるエア・リキードの工場で再生可能水素を26年から年2万8,000トン生産し、産業、交通部門の顧客に供給するというもの。CO2の排出量を最大で年25万トン削減できる。