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2021/12/17

ドイツ経済ニュース速報

「リトアニア製部品の使用停止を」、中国が独メーカーに要求

自動車部品大手の独コンチネンタルに対しリトアニアで生産した部品を使用しないよう中国政府が圧力をかけているもようだ。リトアニアに生産拠点を構える独メーカーは多く、他の企業も同様の問題を抱えているとみられる。リトアニアと中国の関係悪化の影響が独経済にも波及してきた格好で、独経済省は来週(12月20日に始まる週)にも経済界の関係者と会合を開くという。ロイター通信などが報じた。 同通信が関係筋の情報として17日に伝えたところによると、中国はコンチネンタルがリトアニア工場で生産した製品の輸入を禁止したという。同社のコネクテッドカー・自動運転部門はリトアニアで電子部品を製造している。 中国外務省はリトアニア製部品の使用を中止するよう多国籍企業に圧力をかけたことはないとの声明を出した。同社は報道内容へのコメントを控えている。 台湾は11月中旬、事実上の大使館に当たる「台湾代表処」をリトアニアの首都ビリニュスに開設した。在欧州の台湾の代表機関のなかで名称に「台湾」が入るのは初めて。これに反発した中国はリトアニアとの外交関係を格下げし、特命全権大使を召還し臨時代理大使を置いた。 リトアニアの経済団体によると、中国は経済面でも同国に圧力をかけており、中国税関はリトアニアを原産地表示リストから除外した。このためリトアニア製品の通関手続きが難しくなっているもようだ。 在バルト諸国ドイツ商会議所のフロリアン・シュレーダー会頭は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、あるドイツメーカーはリトアニアから機械を中国に輸出したところ通関が認められず、送り返されることになったことを明らかにした。リトアニアに建設中の工場に投入するため中国から調達した生産ラインが届かないケースもあるという。 リトアニアは税率の引き下げと事務手続きの簡素化を通してこれまで多くの外資を誘致してきた。ドイツ企業もボッシュ、シーメンス、BASFなどの大手だけでなく、中堅企業が数多く進出している。コンチネンタルは中国向けの輸出をリトアニア以外の工場から出荷することで対応できるもようだが、経営規模の小さい企業はそうした対応を取ることができない。このため、両国の対立が長期化した場合、リトアニアから撤退することを検討する企業がすでにあるという。 欧州連合(EU)欧州委員会の広報担当は17日、中国に説明を求めるとともに、世界貿易機関(WTO)と非公式に協議を開始したことを明らかにした。「われわれの要求が考慮されないようであれば、WTOに正式提訴する」としている。