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2019/12/10

ドイツ経済ニュース速報

汎欧州電池プロジェクト、欧州委が総額32億ユーロの助成を承認

欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、電池の研究・開発、技術革新に向けた欧州企業のプロジェクトに加盟7カ国が最大で総額32億ユーロを助成する計画を承認したと発表した。欧州委は経済と環境の両面で重要性が高まっている電池分野で欧州がアジア企業に強く依存する現状の是正を目指しており、計画承認は確実視されていた。同委のマルグレーテ・ベスタエアー上級副委員長(欧州デジタル化対応総括兼競争政策担当)は「欧州における電池製造は我々の経済・社会に戦略的な意味を持つ」と明言した。 欧州委は2017年、電動車用電池の生産でアジア勢に対抗するため、関連分野の企業が参加する汎欧州企業連合を創設する構想を打ち出した。米ボーイングに対抗するため仏独英西の航空機メーカーが共同で立ち上げたエアバスをモデルに、電池の分野で高い技術力を持つコンソーシアムの結成を目指すというものだ。 今回承認された計画はこれを具体化するもので、参加企業はリチウムイオン電池の原料獲得からリサイクルに至る全バリューチェーンを対象とした計4分野でコンソーシアムを結成。有機電解液を用いる現行のリチウムイオン電池技術と、無機固体電解質を用いる次世代のリチウムイオン電池(全個体電池)技術でプロジェクトを行う。 コンソーシアムに直接参加する企業は17社で、ドイツ企業では化学大手BASF、自動車大手BMW、電池製造のファルタが名を連ねている。コンソーシアムには欧州企業70社以上が協業の形で間接的に関与する。 4分野の内訳は(1)画期的な原料獲得・精錬技術と先端材料の開発(2)安全性と性能の高いセルとモジュールの開発(3)管理システム(ソフトウエアとアルゴリズム)を含む電池システムと画期的な検査方法の開発(4)リサイクリング、リパーパシング(電池以外の用途での再利用)、リファイニング(電池廃材の再精錬)。製造だけでなく原料獲得やリサイクルも計画に含めているのは、電池の性能向上のほか、環境と持続可能性も重視しているためだ。 助成金の交付国はドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、フィンランド、ポーランド、ベルギーの7カ国で、ドイツは最大1億2,500万ユーロ、フランスは9億6,000万ユーロを拠出する。 独仏政府は今回承認された計画の第一弾として5月、仏自動車大手PSAと独子会社オペル、エネルギー大手の仏トタル、およびトタルの電池子会社サフトからなるコンソーシアム(オートモティブ・セル・カンパニー=ACC)を両国が支援することで合意した。まずはフランスに雇用規模200人のパイロット工場を建設。2022〜23年にかけてはさらに独仏両国に量産工場をそれぞれ1カ所、設置する。当初は現行世代のリチウムイオン電池セルを手がけ、25〜26年には全固体電池のセル製造を開始する予定だ。同企業連合に仏政府は7億ユーロ、独政府は5億ユーロの助成金を交付する。