東レ（東京都中央区）は10日、イタリアの産業用繊維・化学メーカーであるサーティ（Saati）から欧州における炭素繊維織物・プリプレグ事業を買収することで基本合意したと発表した。2015年1月に同国北部のミラノ県レニャーノにある工場を引き継ぎ、東レの100％子会社コンポジット・マテリアルズ（イタリア）（CIT）として事業を開始する。
東レは欧州では、フランスの子会社でプリカーサ（焼成前原糸）から炭素繊維を生産・販売するほか、ドイツの子会社で炭素繊維織物を使用した炭素繊維複合材（CFRP）の部品事業を展開している。サーティはこの間に位置する中間材料を生産しており、東レは今回の買収により、欧州で一貫したサプライチェーンを構築でき、同地域におけるCFRP事業基盤をさらに強化する。
CFRP部品は高級車などに需要がある。今後は、東レグループの技術をCITに移転するとともに、グローバルな販売チャネルを生かして、欧州域外にも事業を拡大していく方針を示している。
