英蘭資本の石油大手シェル（デンハーグ）は9月30日、ドイツの電力・天然ガス市場に参入すると発表した。ドイツは欧州最大の市場規模を持つ一方で、都市エネルギー公社などの小規模な事業者がひしめいていることから、事業を拡大しやすいと判断した。英国の独立系エネルギー事業者ファースト・ユーティリティと共同で事業を展開していく。
顧客獲得に向けて同日から販売活動を開始した。シェルがドイツ全国で展開するガソリンスタンド2,200カ所のほか、インターネットも活用する。顧客との契約はファースト・ユーティリティが締結。シェルは調達と供給を引き受ける。ブランドは知名度の高い「シェル」をもっぱら利用する。
両社はすでに英国の電力・ガス市場で提携し、85万世帯を顧客として獲得した。透明性の高さと分かりやすい料金体系を武器としており、ドイツ市場に投入する料金体系も3種類に制限する。
独市場ではエーオン、RWE、EnBW、バッテンフォールの4大大手のほか、小規模な企業が事業を展開しており、電力事業者は1,190社、ガス事業者は890社に上る。ファースト・ユーティリティの独法人社長はロイター通信に、ドイツの消費者の70％は電力・ガス供給事業者を変更したことがないと指摘。透明性の高い料金と包括的なサービスを武器に顧客を獲得していくことに自信を示した。
