欧州特許庁（EPO）は12日、2018年の特許統計の詳細を発表した。それによると、独電機大手シーメンスの特許出願件数は前年比12.3％増の2,493件と大きく伸び、7年ぶりにトップへと返り咲いた。前年に中国企業で初めて首位を獲得した華為技術は3.6％増の2,485件に拡大したものの2位へと転落。3位には前年4位のサムスングループ、4位には同4位だったLGが付けた。日本企業はこれまでに引き続きトップテンに名を連ねておらず、ソニー（1,278件）の11位が最高だった。
18年の出願総数は前年比4.6％増の17万4,317件となり、2年連続で過去最高を更新した。アントニオ・カンピノス長官は「欧州は技術革新と投資が報われる魅力的で重要な技術市場と目されている」と明言した。
10位以内には米国企業が3社ランクインし、これに独韓がそれぞれ2社で続いた。中国、オランダ、スウェーデンは各1社だった（表を参照）。中国企業は華為のほか、通信機器の広東欧珀移動通信（オッポ）が1,276.3％増の523件で39位、京東方科技集団（BOE）が16.2％減の419件で48位となり、トップ50にランクインした。
トップ50に入った日本企業は計8社で、前年の10社から減少した。各社の順位はキヤノンが16位、パナソニックが17位、日立が22位、三菱電機が23位、トヨタが29位、東芝が38位、三菱重工業が40位だった。
出願件数を国別でみると、1位はこれまでに引き続き米国で4万3,612件（前年比2.7％増）だった。2位はドイツ（4.7％増の2万6,734件）、3位は日本（3.9％増の2万2,615件）で、トップ3の入れ替えはなかった。中国は8.8％増の9,401件と大きく伸びたものの、増加幅は前年の16.6％から縮小した。コンピューターなど同国が強い分野で出願の伸びが鈍化したことが背景にある。前年に3.4％減と振るわなかった韓国は13.0％増の7,296件と大幅に改善した。
国別のシェアは米国が25％、ドイツが15％、日本が13％、フランスが6％、中国とスイスが5％、韓国とオランダが4％だった。
独は上位10分野中2分野で1位
分野別では医療機器がこれまでに引き続き最も多く、1万3,795件（5.0％増）を記録。これにデジタル通信（0.7％増の1万1,940件）、コンピューター（3.3％増の1万1,718件）、電機・設備・エネルギー（4.7％増の1万722件）、輸送機器（5.9％増の9,039件）が続いた。
上位10分野のなかで伸び率が最も大きかったのは医薬品で、13.9％増の7,441件へと拡大。バイオテクノロジー（12.1％増の6,742件）、その他の特殊機械（10.9％増の6,379件）も2ケタ台の伸びを記録した。
出願トップ3カ国の米独日は上位10分野すべてで高いシェアを持っており、産業の幅が広いことが分かる。ドイツは電機・設備・エネルギー（シェア19％）と輸送機器（同24％）の2分野で1位を獲得。日本は1位となった分野がなかったものの、電機・設備・エネルギー（18％）、コンピューター（10％）で2位となった。米国は医療機器（38％）、デジタル通信（26％）、コンピューター（38％）、計測器（22％）、有機ファインケミカル（25％）、医薬品（38％）、バイオテクノロジー（32％）、その他の特殊機械（22％）の8分野で1位を占めた。
人口100万人当たりの特許出願件数が最も多かった国はスイスで、955.9件に上った。2位はオランダ（416.3件）、3位はデンマーク（411.4件）で、ドイツ（332.3件）は5位、日本（179.2件）は9位、イスラエル（172.8件）は10位、韓国（141.9件）は13位、米国（132.5件）は14位だった。日本と韓国以外のアジアの国ではシンガポールが87.2件で18位、台湾が75.0件で19位に付けている。
特許の付与件数は20.8％増の12万7,625件と大きく増えた。特許審査手続きの改善が反映された格好。付与件数のシェアを国別でみると、米国は24％で、出願シェアの25％をやや下回った。日本は17％、ドイツは16％で、ともに出願シェアを上回っている。4位はフランスで7％、5位は韓国で5％、6位は中国で4％だった。
