独自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンが米同業のTRWオートモーティブの買収に向けて交渉を進めている。ZFは10日付けのプレスリリースでTRWと交渉している事実を認めながらも、何らかの合意や協議の結果が出るまではコメントは控えるとの姿勢を示している。メディア報道によると、両社の交渉は初期段階にあるもよう。両社の合計売上高は約300億ユーロとなり、買収が実現すると独自動車部品大手のボッシュやコンティネンタルと肩を並べる規模の部品メーカーとなる。
ZFはTRWの買収により、電気電子部品事業や安全システム事業を強化する戦略とみられている。また、規模の拡大により大手自動車メーカーが積極化している国際事業展開に対応できる体制を整える狙いもあるとみられている。
ZFは、変速機やダンパー、操舵システムなど機械系部品を中核事業とする。独経済紙『ハンデルスブラット』によると、売上高に占める電子部品の割合は5％以下とされている。
これに対しTRWはエアバッグシステムやカメラ、レーダー技術、センサー、ソフトウエアなど安全システムや電気電子部品を得意とする。ZFはボッシュとの合弁会社を通して操舵システム事業を展開しているが、両社の事業が重複するのは操舵システムぐらいではないかとみられている。
ZFは2025年までに売上高を400億ユーロに拡大する戦略を打ち出しており、中でもTRWが得意とする電子部品や安全システムの技術が生かされる自動運転の分野に商機があると見込んでいる。
両社の2013年の売上高は、ZFが168億3,700万ユーロ（従業員数：7万2,643人）、TRWは約174億ドル（約128億ユーロ、従業員数：6万5,000人）だった。
