欧州連合（EU）の欧州委員会は1日、「2010年イノベーション・ユニオン・スコアボード（IUS）」を公表し、EUは技術や技術革新（イノベーション）の分野で米国や日本との格差が一段と広がっていることを明らかにした。欧州委はEUが「イノベーション緊急事態」に直面しているとして、経済浮揚のためにも民間企業の研究・開発（R&D）投資を促進し研究成果の応用に企業が力を入れるよう呼びかけた。
\IUSは企業のR&D投資や特許件数、ライセンス収入、博士号の取得者など25項目について域内各国と域外主要国を比較したもの。これによればEUは長年にわたり米国に追い付こうとしながらも、ますます水をあけられている実態が浮かび上がった。たとえば2007年に米国はEUより45％上回っていたが、2010年にはこれが49％に拡大している。また日本も2006年にEUより32％上回っていたが、昨年はこれが40％と大きく開いた。
\EUはインドやロシアに対しては依然として大きくリードしているものの、ブラジルに対しては優位性が陰ってきているうえ、中国が急速に追い上げている。EUは中国に対して2006年には61％上回っていたが、昨年はこれが55％に縮まった。またEUのR&D支出が世界全体に占める割合も1995年の28.6％が2008年には23.4％まで縮小している。
\欧州委のゲーガン＝クイン委員（研究・イノベーション担当）は、「現在の経済危機から脱して成長していくため、我々がしなければならないのはイノベーションや研究・教育・技術への投資」と強調している。なおEU内で最もイノベーションで優れていたのはスウェーデンで、これにデンマーク、フィンランド、ドイツが続く。第2グループは英国、ベルギー、オーストリア、アイルランド、ルクセンブルク、フランス、キプロス、スロベニア、エストニアの9カ国だった。
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