特殊化学大手の独エボニック（エッセン）がスイスの競合クラリアントの買収を検討しているもようだ。英『ファイナンシャル・タイムズ（FT）』紙が3月26日報じたもので、クラリアントを1株当たり23スイスフランで取得する考えという。ロイター通信も消息筋2人の情報として同様の報道をしている。クラリアントの広報担当者はメディアの問い合わせに、市場の憶測にはコメントしないと述べ回答を控えた。
1株を23フランとすると、クラリアントの時価総額は73億フラン（70億ユーロ）となる。バーダー銀行のアナリストは、エボニックによるクラリアント買収の可能性は高いと以前から考えていたと述べたうえで、FT紙が報じた買収提示価格は妥当だとの見方を示した。ただ、クラリアントの買収に関心を持つ企業は他にもあるため、買収合戦に発展すると提示額が押し上げられる可能性があるという。
ロイター通信によると、エボニックのクラリアント買収方針は最終決定していない。
エボニックは同日、今後10年で研究開発に総額40億ユーロ以上を投資する方針を明らかにした。イノベーションの面で世界トップレベルに達することが狙いとしている。
