欧州連合（EU）の欧州委員会は12月22日、独大手州立銀行ウエストLBの経営再建に向けた不良資産の受け皿機関（バッドバンク）設立のための独政府による追加支援策について、国家補助規定に抵触しないか精査するため本格調査に着手したと発表した。ただ、バッドバンクの設立自体は金融市場の安定化につながるとの判断に立ち、ウエストLBへの追加的な資金支援を暫定的に承認した。同行はドイツ政府の救済基金（Soffin）を通じ、30億ユーロの資本注入と10億ユーロの融資保証を受ける。
\ウエストLBはサブプライム関連の証券化商品への投資などによって巨額の損失を出し、経営危機に陥った。欧州委は昨年5月、リスクの高い証券業務から撤退して銀行業務に専念することを条件に、ウエストLBに対する50億ユーロの公的支援策を承認。独政府はその後、バッドバンク設立などに関連して自己資本比率の基準達成が困難になったとして新たな支援計画を打ち出し、欧州委は10月に2カ月の期限付きで64億ユーロの追加支援を認めていた。
\ウエストLBは国債や学生向けローンなど、総額850億ユーロ超の資産をバッドバンクに移す方針を打ち出しているが、欧州委は不良資産の評価基準や算出方法の点で透明性に欠けると指摘。さらに再建コストを国、銀行、株主の間でどのように配分するか、国がウエストLBにどの程度の返済を求めるかなどに関しても不透明で、国家補助規定の要件を満たしていないとの見方を示している。
\一方、独財務省は「ウエストLBのバッドバンク構想は完全にEUルールに準拠している」との声明を発表。欧州委の調査は「国家補助に関連した通常の手続きだ」と強調している。
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