欧州連合（EU）加盟国の間に国境管理を強化する動きが広がりだしている。急増する難民受け入れの限界に達したドイツが13日に国境検問を開始したことを受け、周辺諸国に難民が流入する可能性が浮上。そうした事態を回避するためにオーストリア、スロバキア、オランダは国境での検問に乗り出した。ポーランドも同様の措置を検討するとしている。物流業界では配達時間を順守できなくなるとの懸念が出ている。
一方、ドイツを目指す難民の通過地点となっていたハンガリーは14日、難民流入を防ぐ目的でセルビアとの国境沿いに建設していた越境防止フェンスの設置作業を終了した。フェンスを破るなどして入国した移民は15日付けの法改正で逮捕されるようになっており、フェンスを無理やり超えようとした難民は逮捕された。
ハンガリー政府はまた、国内の難民キャンプを閉鎖し、難民を隣国オーストリアの国境地域まで輸送。難民のオーストリア入りを「手助け」し、国内からの難民「追い出し」を急いでいる。
今後はハンガリー経由でドイツに向かうことが難しく、難民の移動ルート（いわゆるバルカンルート）はハンガリーを迂回する見通しだ。難民の一部はすでにセルビアからクロアチアに入国している。クロアチアには旧ユーゴスラビア内戦時に埋設された地雷が大量に残っているものの、同国政府は安全なルートを通過できるように配慮するとしている。
デンマークは9日に国境閉鎖
デンマーク政府は9日にドイツとの国境を閉鎖した。鉄道を使って難民が大量に流入したことを受けた措置で、一時は高速道路も閉鎖した。
政府は同日、デンマーク国鉄（DSB）に対しドイツとの間の鉄道運行を停止するよう命じた。難民数が増加し6日から9日にかけては3,000人が流入しており、流入数の増加を防ぐために措置を取った。
難民は受け入れ体制が充実するスウェーデンを目指しており、一部（数百人）は高速道路E45号線を北上。これを受けて警察は同高速道を閉鎖した。E45号線に接続するドイツの高速道路A7号線もハリスレー以北が通行止めとなった。
デンマークでは移民排斥の動きが強まっており、6月の総選挙では右派勢力が勝利。中道右派の与党・自由党は極右デンマーク国民党の閣外協力を受けて政権を運営している。同国はスウェーデンへと向かう難民の通過ルートに過ぎないが、国民党は難民の通過を黙認してきた政府を批判。これを受け政府は国境取り締まりの強化姿勢をアピールしたもようだ。
