クロアチアのパネニッチュ経済相は12日、ロイター通信とのインタビューで、アドリア海北部のクルク島沖に液化天然ガス(LNG)の洋上受入基地を建設する計画を明らかにした。年間貯蔵容量は約20億立法メートルで、2018年の完成を見込んでいる。すでにエネルギー企業4社、金融・投資機関3社がプロジェクトへの投資に名乗り出ており、今後数カ月で交渉を加速させる考えだ。
クロアチアはロシアからの天然ガスの輸入依存度の低減とLNGの安定調達を目指し、クルク島にLNG基地を開発するプロジェクトを進めている。その実行役であるLNG クロアチアは当初、島内に最大60億立法メートルの貯蔵容量の基地を建設する計画だった。
パネニッチュ経済相は計画変更について、「陸上基地を断念したわけではなく、現時点では洋上基地で市場安定性を確保できる」と説明。ロイター通信が昨年夏、関係筋の情報として、米LNG大手シェ二エールがクロアチアでLNG洋上基地建設を計画していると報じたことから、計画変更の背景には同社の働きかけがあったと見る向きもある。
当初のLNG基地建設プロジェクトにおける投資額は約6億ユーロで、ガスパイプライン拡張工事を含めると10億ユーロ。LNG基地で再ガス化した天然ガスを中東欧諸国に輸出する戦略だ。