ロシア政府は19日の政令で、国有企業に対し、昨年の配当性向を50%以上とすることを義務付けた。財政赤字補てんのためで、1,000億ルーブル(約13億ユーロ)の追加収入を見込む。ただ、例外が認められていることから、実額がこれより小さくなる可能性もある。
対象となるのは、ガスプロム、ロスネフチガス(※ロスネフチの親会社)、バシネフチ、ザルベジネフチなどのエネルギー企業や、アルロサ(ダイヤモンド)、ルスギドロ(水力発電)、ソヴコムフロット(海運)などだ。ガスプロム取締役会の配当提案額は政令の水準の約半分で、政令が文字通りに施行されれば、大幅な負担増を強いられる。他社も同様だ。
ただ、証券会社BCSによると、向こう3年の予想利益や投資計画、資金調達の可能性などを根拠に配当額を引き下げる余地があり、実際の金額が利益の50%に届くかどうかははっきりしない。
ロシアは今年、2年連続の景気後退が予想される。経済の柱である資源産業が原油安で不振となっているほか、ウクライナ情勢をめぐる欧米諸国の制裁が響いている。
今年の予算は原油価格をバレル当たり50米ドルとして組まれ、国内総生産(GDP)比3%の財政赤字を予定している。しかし原油相場が低迷しているため、政府はバレル当たり40ドルでも財政赤字が3%以内に収まるよう、各省庁予算の10%削減を実施した。大手国有企業の民営化も計画しているが、ほとんど進展していない。(1RUB=1.66JPY)